◆ 第二章 環境問題を利用する人々 ◆「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房

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第二章 環境問題を利用する人々
「石油枯渇説」と「地球温暖化」の矛盾

政府機関や環境団体がよく利用している、1950年から2100年までの世界の気温変化予測を示したグラフがあります(図5参照) 。

このグラフでは、「何も対策を打たなければ、2100年には気温が最大で5.7℃上昇する」と推定しています。
平均気温が1℃上がるだけでも大きな変化です。1950年から2000年にかけて、実際に平均気温が約1℃上がっていますが、この変化がどのくらいのものかというのは皆さんも体感していると思います。5℃以上も上昇するとなると、特別な対策を行わなければなりません。
ただし、このグラフを見て注意しなければならないのは、これは2100年までにCO2によって温暖化することを示したグラフということです。
CO2を出しているのは、石油、石炭、天然ガスなどですから、これらが枯渇すれば地球温暖化も収まるということになります。

1973年(※11)にオイルショックがありました。当時、「あと30年で石油がなくなる」という報道があり、国民は大きな衝撃を受け、多くの人がトイレットペーパーを買い漁りました。
しかし、それから50年以上経っていますが、現状で石油がなくなるという事態にはなっていません。
当時、私は科学的な知見にもとづいて「あと30年で石油がなくなるということはない」と発信していましたが、各方面からバッシングされました。あのときに、「石油は30年でなくなる」と報道したテレビ局や新聞社、政治家や知識人、なくなる」と報道したテレビ局や新聞社、政治家や知識人、たちは、今のこの状況をどう受け止めているのでしょうか。
そしてその後、「石油は当分なくならない」ということがわかり、その代わりに出てきたのが、前章で考察した「地球温暖化」の問題です。

先の図5のグラフは、2100年まで石油や石炭、天然ガスなどに依存した生活、つまりこれらを自由に使う生活を送ると、気温が最大で5.7℃上がるということを予測しています。自由に使うことを前提にしているということは、これから2100年まで、石油、石炭、天然ガスはなくならないということも示しているわけです。
最初に「あと30年で石油はなくなる」と言い、次に地球温暖化の問題になったら、「石油は少なくともあと100年ある」ということを前提に話をする……。
「石油などの資源が枯渇するので、節約しなければならない。化石燃料に頼っていてはいけないので、太陽光や風力発電をやらなければならない」と言っておきながら、温暖化のことになると「石油、石炭、天然ガスは少なくとも2100年までは豊富にある」ことを前提に対策をしているという矛盾が生じているのです。
こういった論理的なまやかしや科学的な誤りがそのまま通用しているのが、現在の日本社会です。
しかも、地球温暖化関連の国家予算は、1年に約30兆円と言われています。国民一人あたり1年間に約30万円、10年間で300万円という巨大な額になります。
自分自身の人生や家族の生活に大きく関係する、この地球温暖化に対する税金の使い方が矛盾に満ちており、非合理で非科学的であることに、まず気がついてほしいと強く思います。

※11 オイルショック 1970年代に一一度発生した、原油の供給逼迫および原油価格の高騰に伴い、世界経済全体が来した大きな混乱の総称。

「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房 令和6年刊より
R080630


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