◎ 物の価値は自分が定める ◎ 『武田邦彦の科学的人生論』飯塚書店刊より

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◎ 物の価値は自分が定める ◎ もう一つの値段の決めかたは「本人が決める」のであり、それは200万円だ。誰がなんと言っても、そのお宝は本人にとっては200万円の価値があるのであり、他の値段ではない。 若い頃、私はこのことを訓練しようとした。本当はレストランにいって「値段を見ないで自分の食べたいものを食べる」ということができればよかったのだろうが、貧乏な私にそれはできなかった。そこで一計を案じて、電車の切符で訓練をすることにした。 電車に乗ってある駅まで行こうとするとき、190円くらいだろうとか350円くらいかなという大体の目星はつく。そこで切符売り場の運賃表で確かめて、必要な金額を入れるというのが普通だ。しかし私はそのときに値段を見ない。190円であろうが350円であろうが、とりあえず500円入れる。これもなかなか難しい。これから行くところは自分にとって190円払う価値があるだろうか。それとも一万円の価値があるのだろうか?そう考えて切符を買う。 この訓練がどのぐらいの効果を上げたのかわからないが、私は徐々に「自分の人生で自分にとって価値のあること」が見えてきたのは確かである。そして、「値段」というものは商品につけられている値段ではなく、自分が考えた値段が商品につけられている値段より高ければ「買うことができる」ということなのだとわかったのである。 300円のランチがあると聞くと「どんな味なのか」と食べてみることはある。でもそれは値段で食べているのではなく、自分の興味で食べる。それはまたそれである。 この世には「平均的値段」が横行している。また「コスト・パフォーマンス」などという「心を持たない人間の用語」も使われる。でも、そんなものは関係がない。 つきるところ、「手鍋下げても」なのである。愛する人と一緒になれるなら、炊事の大変さや貧しさも苦にならない。人生で不幸なのは、「黄金の手鍋」を買うことができても、「手鍋下げても」と思うことができないことだろう。 『武田邦彦の科学的人生論』飯塚書店刊より R081003

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