◆ 「自然が正義」日本流の思想 ◆「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房より

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◆ 「自然が正義」日本流の思想 ◆

一方、「自然が正義」という思想は、自然をよく観察しないと出てこない考え方です。
自然界の大きな特徴の一つに、支配層の数が増えないということがあります。サバンナにおけるライオンの数がなぜ増えないのか、中央アジアのオオカミの数がなぜ増えないのか、日本のクマの数はなぜ増えないのかーーーということです。
アメリカ五大湖内のロイヤル島におけるシカとオオカミです。
この島にはシカが先住しており、典型的な例としては、この島にはシカが先住しており、天敵がいないのでその数を増やしていきました。
ところが、数が増えすぎたシカは、島に牛息する草や本の芽を食べ尽くしてしまい、大量に餓死してしまいます。時は3000頭だったシカが、600頭まで減少したと言われています。
そこへオオカミが進出してきました。シカはオオカミに捕食されてしまうのですが、シカは一定数以上は減りませんでした。そして、オオカミがむやみに捕食しなかったからです。
シカは後先のことを考えずに島の草や木の芽を食べつくして大量に餓死したのですが、オオカミがやって来たことで皮肉なことに餓死するシカは減少しました。
日本のクマも同様です。北海道ではヒグマが圧倒的に強く、本州でもツキノワグマが最強です。ですが彼らは、無限に鮭をとったり、小動物をとったりしません。自分たちの数をもコントロールしています。
このように、オオカミやクマのようなその地域での支配的動物は、全体を制御する力を備えているのです。
また、植物の場合もいちばん強い植物は、日当たりの良い場所や水はけの良い場所で生息しますがそれ以上のことはしません。弱い植物のテリトリーまで進出しないのです。
そのため、動物も植物も力の強いものから力の弱いものまで、その数はあまり変わらずに生存することができます。まさに、共存共栄になっています。
それぞれの性質を力の強さに応じて、お互いに不満のない持続的な社会を構成しています。これが動物や植物の知恵です。このような知恵は、約6億年前に多細胞生物が誕生してから多くの動植物が成長してきた過程で得たものです。

「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房 令和6年刊より
R080727

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