◆ 地震に対する正Lい恐れ方 ◆
「いつ、どこで」という地震予知は難しいのですが、「いつか、どこかで」必ず地震は起こります。政府は頼りになりませんから、国民一人ひとりができる範囲で備えることは必要です。
災害時用の備蓄品をそろえたり、避難場所の確認をしておくことはもちろんですが、やはり地震には家の中の安全対策が重要です。
地震で危険なのは、重たいものが上から落ちてくることです。亡くなる原因はこれによるショック死がほとんどです。背の高い本棚や箪笥(たんす)、冷蔵庫が倒れないようにしているご家庭も多いと思います。
ここで注意してほしいのが、「落ちてくる」という表現です。大きな横揺れ地震の場合、テレビや電子レンジなどの重い物が横から飛んできます。高いところから、落ちてくるだけではないのです。
現在、私の自宅には背の高い家具はありません。今から20年くらい前に整理して、重い物は膝より少し高いところに置いてあります。そのようにしたら、予期せぬことが起こりました。家族に安心感が生まれたのです。「もう地震が来ても大丈夫」と。
このような備えをしておくと、家の中で命を落とすことはまずありません。心理的にも良い影響を与えてくれます。
古い家の場合は、倒壊が心配です。できれば改築していただきたいのですが、難しいのであれば、2階に重い物は置かないことです。重たい瓦が乗っている家は、そこだけでも修繕したいところです。
日本は地震大国ですが、けっして不幸だとは思わないでください。日本列島は、地震があるからこそ今のかたちを保っているのです。
約2500万年前項に、プレートの沈み込みの影響で火山噴火などの活動が激しくなり、ユーラシア大陸の縁が割れ始めます。割れたところに海水が流れ込み、やがてそれは日本海になり、大陸から離れていく大地が日本列島を形成していきました。
本来であれば太平洋プレートと一緒に沈みこんでしまってもおかしくありませんでした。
ですが、太平洋プレートはハワイあたりでマグマが噴き上がっていて、その岩石が海底を長く移動してくる際に冷やされます。冷え切った岩石は重たいので、日本列島の下に潜っていきます。
その反動で日本列島が持ち上がり、今の形を維持できているのです。
日本のように周りが海に囲まれて、魚介類が豊富にとれ、四季がある国は世界でも稀です。
自然現象は、時に厳しく時に優しい両面があるのです。
例えば、

のです。イエローストーン国立公園*18。Jこは火山地帯なのですが、世界で初めて国立公園として詑定されました。アメリカ合衆国のモンタナ州、ワイオミング州、アイダホ州にまたがる総面積8980knfもの広大な敷地に地球上の約半分の温泉、約3分の2もの間欠泉があり、七色に輝く巨大な温泉など、熱水現象による極めて特異な自然景観を成しています。
この火山地帯は、いずれ大噴火が起こると予想されています。しかし、人々は現在でもイエローストーンを訪れ、観光を楽しんでいます。
地震を理解し、正しく恐れる——_。気楽な心持ちで、Jの日本列島でこれからも生活していきましょう。
※18 イエローストーン国立公園 アメリカ合衆国のアイダホ州、モンタナ州、およびワイオミソグ州に位置する世界初の国立公園。園内には様々な間欠泉や温泉が散在しているほか、グリズリーやオオカミ、アメリカバイソンなどが生息している。
「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房 令和6年刊より
R080718

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