四季は五行の旺の変遷として記述されるが、旺じる五行以外の他の四行は消滅したわけではなく、旺じる五行との関わりの中で機能している。例えば、春に木が旺じている間、火土金水は姿を消すわけではなく、木との関わりの中で作用を保っているのである紀元前2世紀頃に成立した「淮南子(えなんじ)』の「地形訓」中に、すでに壮・生・死・囚・老という呼称で五行の通年変化が論じられており、また、6世紀、隋代の書である「五行大義」の「論四時休王」中にも、この各季における五行それぞれの状態が、旺・相・死・囚・休と言われる循環律として説明されている。
四柱推命に関する文献を集成した書である「星平會海全書」には、

旺  春木、夏火、秋金、冬水 四立土

相  春火、夏土、秋水、冬木 四立金

死  春土、夏金、秋木、冬火 四立水

囚  春金、夏水、秋火、冬土 四立木

休  春水、夏木、秋土、冬金 四立火

とあり、四季の変化の中での、旺・相・死・囚・休という五つの状態について明確に述べられている。ちなみに、「相」とは、たすけるの意であり、「囚」とは、とらわれるの意である。
「死」というと人の死のような不吉なイメージを連想するが、消えてなくなるのではなく、ただ勢いが最も衰えているという状態を表現しているだけで、生命の死とはまったく関係はない。
旺相死囚休の変化の法則は、旺じる五行との生剋制化の関連により、次のように定義されている。

●「相」あるいは「相令」は、旺じる五行に「生」じられる五行で、次に旺じる位置にあり、盛んになりつつある状態を示す。
例/木旺の春であれば、木が生じる火が「相」「相令」となる。

●「死」あるいは「死令」は、旺じる五行に「剋」される五行で、もっとも勢いを失っている状態を示す。
例/木旺の春であれば、木に剋される土が「死」「死令」となる。

●「囚」あるいは「囚令」は、旺じる五行を「制」する五行で、衰え、死令に向かっている状態を示す。
例/木旺の春であれば、木を剋する金が「囚」「囚令」となる。

●「休」あるいは「休令」は、旺じる五行を生じる五行で、旺という盛んな時期を終え、衰え始めている状態を示す。
例/木旺の春であれば、木を生じる水が「休」「休令」となる。

木旺を例にとって説明すると次のようになり、続いて夏になると、火が旺じ、それまで旺じていた木は第一線から退き、休令となるのである。

「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より