◆ 「満足度」から見えてくる時代の転換点 ◆
「力と物の時代」が終わりを迎えたという仮説を、これから証明していきます。
注目したいのは「満足度」です。我々の幸福というのは、この満足度がとても大きく関わってくるものです。
内閣府による「現在の生活の満足度」(国民生活に関する世論調査)*39に関する調査から検証していきます。高度成長が終わり、1990年代初頭にバブルが崩壊してから2020年までの約30年間はほとんど経済成長はありませんでした。この時期の日本人の「満足度」を見てみると、非常に面白い傾向が見られます。
まず、満足度がマイナスの項目から見ていきましょう。
「資産・貯蓄」の項目を見ると、満足度が低く、マイナス20%くらいで椎移しています。
これはGDP(国内総生産)が上がらないため、新しい住宅を買う、新しい車を買うということが自由にできず、将来の病気や高齢化に向けての貯蓄も上手くできないという状況です。したがって日本人全体がマイナス20%の満足度で惟移したのは非常に妥当なところです。

「所得・収入」の項目も、満足度は0からマイナス数%です。これもGDP(同内総生産)が増えていないため当然でしょう。
次に、満足度がプラスの項目を見てみましょう。
「自己啓発・能力向上」の項目は、プラス20%くらいで推移しています。つまり、自らの力をつけていきたいという点では、あまり不満はなかったということです。
「食生活」は満足度がかなり高い項目です。
食生活に関しては2008年からデータがありますが、満足度はプラス60~80%くらいで推移しています。
これは食事の供給が増加したことと関係していますが、食料品自体が美味しくなり、キッチン家電も進化したこと、そして、外食産業やスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどが発展し、しかもデフレでそれらの値段があまり上がらなかったこともあって、高い満足度になっています。
「住生活」も満足度が高い項目です。プラス40~65%くらいで推移しています。
これはやはり冷暖房機や家電などが安価で高性能になり、また住燦境も良くなってきたからです。
そして、「耐久消費財」もプラス40~60%くらいで推移していますので、満足度が高い項目と言えるでしょう。
「レジャー・余暇生活」の項目は、プラス20%くらいですので高い満足度とは言えませんが、まずまずの数値です。遊ぶという点でも、あまり不満がないようです。
この30年間、貯蓄もできず、収入も良くない状況にもかかわらず、食生活や住生活、耐久消費財に関しては多くの口本人が満足しており、自己能力の向上やレジャーなどにも大きな不満を持っていないのです。
「出世をし、いい車に乗り、ブランド品を身に着ける」という価値観は、明らかに時代遅れとなりました。
※39 国民生活に関する世論調査
国民生活に関する世論調査とは、内閣府が定期的に実施している国の重要な世論調査の一つです。現在の生活や今後の見通し、暮らしの満足度、家族や家庭に対する意識、政府への要望などを広く国民から聞き取り、今後の行政運営の基礎資料とすることを目的としています。
「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房 令和6年刊より
R080814

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