◆ 現代より江戸時代のほうが平等だった?! ◆
次に、現代日本と江戸時代中期の格差を比較してみます。
武士の平均年収は、約500万円(約50石=約50両)と言われています。当時は、身分や年貢などはすべて「米」で管理されており、給与についても米の量で提示されていました。通貨に換算すると、1石(約150kg)は、およそ金1両(約10万円)になります。
下級武士は自分たちで食べる分だけの米を確保し、残りを現金に換えて生活していました。米を現金化したあとの年収をみると約80万円(約8石=約8両)と言われています。
100石くらいの収入がある武士は、剣術の腕がかなりある人です。さらに200石、300石になると上級武士です。
家老の収入は、その藩全体の大きさによってかなり違います。加賀藩には大名並みの家老が多く存在しており、小藩の殿様と同じように1万石以上を有していたと言われています。
農民の年収は約300万円(約30石=約30両)と言われていますので、武上と農民との格差は、平均的な武士とは2倍弱、上級武士とは3倍強ということになります。
また、江戸時代の大名は主君であり、現代の社長や会長とは違います。例えば、平均的な武士の家は、大名が用意します。特に、城の周りは軍事的に重要ですので、信頼できる家臣の家を配置したりします。
そもそも江戸時代の暮らしは質素です。
武士や農民、町人の持ち物は、衣服がほとんどで、家具はあまりなく、調度品が少しあるくらい。もちろん大名は、格として高価なものを持っていましたが、驚くほどの差はありません。
資産の差もありません。米は何年も保管できません。せいぜい2年の資産価値です。
そうすると、現代と江戸時代では格差はほとんど変わりがないか、もしくは江戸時代のほうが平等であったとさえ言えます。
「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房 令和6年刊より
R080802

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