◆ 御嶽山(おんたけさん)の噴火 ◆「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房より

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◆ 御嶽山(おんたけさん)の噴火 ◆

もう一つの例が、御嶽山(おんたけさん)の噴火です。
御嶽山噴火*17は、2014年9月27日に発生した長野県と岐阜県の県境に位置する御嶽山(標高3067m) の火山噴火災害です。噴火警戒レベル1 (平常)の段階で噴火したことなどの様々な要因により、火口付近に居合わせた登山者ら58名が死亡、5人が行方不明という戦後最悪の火山災害となりました。
御撤山の噴火で犠牲になった人は、無念だろうと思います。なぜなら御嶽山の山頂で地震を測定していたはずの地元自治体の地震計は故障していて、11月頃に名古屋大学から新しい地震計が運ばれる予定だったからです。
御嶽山の噴火を予知できなかった大きな理由の―つは、「地震計が壊れていた」ということでした。これに対して噴火予知委員会は「頂上の地震計など関係ない」と言い訳をしました。それが本当なら、地震計など最初からいらないですし、科学の常識から考えても「遠くにある地震計」より、「できるだけ近くに、多くの観測点があるほうが良い」のは当然です。
地震計が壊れていたことが明らかになると「もともといらないもの」と釈明しながら、実は急いで設置しようとしていたのですから非常に不誠実です。
また、噴火の危険性を示す「レベル1」(安全に登山できます)とされていたことに関しては、「火山はいつでも噴火する。そのくらいのことはわかっているはずだ」と開き直るのです。
もともと御嶽山は学校の遠足でも行くところで、8号目までロープウェーが行っています。ですから、噴火予知委員会は「御嶽山で50人もの犠牲者がでるような噴火はない」と判断していたのは明白です。
当時、私はこの経緯を何度か発信していたのですが、あるとき「武田を出すな」という圧力がテレビ局にあったようで、その番組に出演することができないことがありました。

このように、日本の防災対策組織は機能していません。情報を隠蔽(いんぺい)し、国民の命や財産より、組織や自分の地位を守ることを優先しているからです。
地震や津波、噴火などの自然災害に対応するためには、学者と専門家、関係機関などが公聴会のようなオープンな場所で議論を重ねなければなりません。そして、裁判官に相当するポストをつくり、社会全体の危険を未然に防止する。これを早急にやらなければならないと私は考えています。
そのような意味では、現在の日本の裁判所は比較的上手く機能しています。
裁判所では、弁護側と検察側がそれぞれの意見を陳述し、あるいは証人が出て、それを裁判官が聞き、傍聴席から一般市民も聞くことができます。
すべての決定関係が、個人が犯罪に巻き込まれたような場合でも、つまり個人情報に関わることでもかなりオープンになっているわけです。
地震や津波、噴火は、個人情報ではないので、一般的な裁判より情報を公開しやすいはずです。

「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房 令和6年刊より
R080717

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