以上で、命と運の基本的な見方の説明は終わりとする。最後に実際に家族、友人、あるいは知人の命を見る際に気をつけるべきことを述べておくことにする。
最も注意が必要なのは、財の命中でのありようである。財がほとんどない、あるいは財があることが命の調和を乱す大きな原因となっている命を見る時である。
例えば、日干が強であるのに財がないとか、日干が弱であるのに、財が官殺を生じ、その官殺が日干を剋している、といったような命を見るのは難しい点がある。
その理由は、ある程度の年齢になると、自分はこういう人間である、といったイメージを持っているものである。しかし財の作用に問題がある人は、自分自身を客観的に評価をする視点に欠けるところがあるため、自己評価が実際と違っていることがある。だから、五行の配合のみから得た結論をそのまま伝えると本人の認識とくい違うことになってしまうのである。
こうした現象が起こるような人は、職業的にも向かないのを選択していることが多く、 当然いろいろと問題を抱えることになっているものである。命と大運を見ながら、慎重に事象を補整することになるが、それでも回答に窮することになる。
また、出生時間が不明で、その日いつ生まれたのか推定することを求められることがある。基本的には「出生時間がわからなければ見ることはできない」としておくのが無難であるが、出生時間が不明であることは割と多くあるので、生時推定の要領を説明することにする。
その最も重要な視点は財と印となる。つまり、父と母である。例えば、年月日の三柱を見て、財が日干に隣接していないのなら、父親の性格と関わりをうかがえば時柱を絞り込む大きなヒントになる。あるいは、両親の性格、関わり方のありよう、また職業が自営かサラリーマンか、また兄弟構成はどうであるかをうかがえば、日干が強になる時柱にすればよいか、弱になる時柱にすればよいかの見当をつけることができる。また、日常生活に支障がおよぶような病気をしたとか、事故にあった流年かわかればまた参考になる。
出生時間を推定する作業は、日干の強弱と大運の関連の見方、さらに具体的事象の見方について深く理解している必要があるため、たとえ1日に13通りの時干支しかないとしても、困難が伴う作業となるのである。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より
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