13世紀に宋の時代に活躍した命家、徐大升の著作とされている「淵海子平」中に、離婚、再婚することになる命のあり方について、次のように言われている。

男多陽刃必重婚。女犯傷官須再嫁。

〈陽刃が多い男は、必ず結婚を重ねることになる。官を傷つけ犯す女は、結婚を繰り返すことになるものである。〉

陽刃とは比劫の別称で、男性の場合、比劫が強かったり、特に天干に陽干の比劫がある場合、当時配偶者と考えていた財を剋して無力にすることから、離婚したり再婚したりすることになるとし、女性の場合は、食傷が強かったり、食傷の陽干が天干にある場合、配偶者と考えていた官殺を剋して無力にすることから、同様に結婚に問題が発生すると言っているのである。しかし、わずか14文字の漢字で、男女の関係を言い尽くそうとしているため、誤解を招く要因があることは否めないが、右の一文を、本書で説明したことに準じて解釈するなら、比劫が強く、財を剋すようであるなら、その人は自分勝手なところがあり、協調性がなく、人の意を介することなく行動することになる。また後半の7文字は、食傷が強く、官殺を剋すようであるなら、口は禍のもととなって、人とのトラブルが発生することになる。つまり、「淵海子平」では男女に分けて言われているが、実は男女共通の話なのである。
夫婦のいさかいに限らず、いずれも人間関係が破綻する原因となる性格的な問題が言われているのである。また、子どもの見方であるが、古来より男性の場合は官殺、女性の場合は食傷でその人の子どもを推察すると言われているが、既述のようにこれらは実証的に誤りである。
官殺の基本的作用は、社会的責任のような外的な圧力に対して、その人がどのように対応するかを推察する視点である。したがって、男性の場合、官殺が示すことは、家庭という社会の最小単位において、子どもがいることによる責任に対してどのような行動をとることになるかを示しているだけと考えるべきである。血がつながっていると言っても、子どもは別の人格であるし、配偶者との関わりもあるため、一個人の命には、それ以上の情報は含まれているはずがないのである。
つまり、男性の場合は官殺、女性の場合は食傷が日干に良好な作用を発生するなら、その人は父として、あるいは丹として、生まれてきた子どもに良好な環境を提供できることになると考えられるのである。良好な環境と言っても、それはただ単に経済的に豊かであるということだけではない。子どもが健全に育つ上で必要とされる環境のことと考えるべきである。良好な生育環境を自分の子どもに提供できれば、結果として、その人は良い子どもに恵まれることになるはずなのである。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より
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