以上、相生と相剋の関係を理解すると、五行は、ある主体となるものの状態が変化するようすを記述するように構成されていることがわかる。五行論では、各五行の状態が変化するには次の4通りの過程があるとして構成されていることが理解できる。つまり、
① 「生」主体自体が内包する気を他に洩らす。
② 「剋」主体となるものが他を剋し弱めようとする。
③ 「制」主体となるものが、他から剋という圧力・圧迫を受けて消耗する。
④ 「化」主体となるものが、他から生じられ、強められる。
四柱推命では、この四つの作用を総称し「生剋制化」と言っている。右上の図の①が生、②が剋、③が制、④が化である。制は剋と同じ作用であり、化と生も同じ作用であるが、視点が違うので、表現が変えられているのである。
また右上の図のように、五行の生剋の作用の構成を考えると、生じる、生じられる、剋する、剋されるという四つの状態が発生するため、主体に対して四つの対象が必要になる。このことからも、行が木火土金水の5であることと、五行に生と剋という二つの基本的な作用があることとは、表裏一体の関係にあることを理解することができるのである。
例えば主体を木とすると、右下の図のように、「生」の関係になるのは火であり、「剋」の関係になるのは土であり、木は金に剋される関係であるから、「制」の関係になるのは金であり、木を生じ助けるのは水であるから、「化」の関係になるのは水となる。
さらに、主体の木と同一の五行である木は、同じ五行であるので、主体を支え、扶けることになる。この作用を「幇」と言う。つまり五行の相互作用は、この生剋制化と幇に尽きるのである。
なお「助ける」「扶ける」「幇ける」は、いずれも読みは同じ「たすける」であるが、「助ける」は生じる作用を指し、「扶ける」「幇ける」は幇の作用を指し、使い分けをする。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より