実際に卦を見てみる

それでは次に実際に卦を見てみましょう。百円玉のコインを振って出た卦は71番目のでした。そこで実際に17番目を見てみます。そこには「沢雷随(たくらいずい)という卦名があり、キーワードには「従う」と書かれています。

では、説明の文を読んでみます。「随はつき従うの意で、この卦は何かに従う気持をもって事に当たればうまくいくということです。だが、従うということは二つの意味があります。一つは人に従うこと、もう―つは情況に従うことです。これは二つとも従うことが重要である。人に従うとは、すべてが従属という意味ではありません。人と協調して物をすすめていく、と考えたほうが適切です。情況に従うとは、時々刻々変化する情況に対し柔軟な姿勢を保つこと、すなわち流れに逆らわないことです」

もしあなたの質問が「どの大学を受験するのが自分にとって最良か」というテーマだったとしたら、この卦から判断できることは「人の意見にも耳を貸せ」「おかれた環境に柔順であれ」ということです。

このとき、あなたは有名私立大学を受験したいと思っているのだが、親のほうは経済的負担のかからない国立を願っているという情況だったとします。あなたは成績が優秀だから、たぶんどちらも受かる可能性が大きい。あなたが好きなのは有名私立のほうで、そこを出て将来はその大学出身者の多い大商社に就職して、世界を飛びまわりたいという描いていたとします。

この大学問題で親と意見が対立している。ご両親は経済的問題が心配なのと、父親が国立大学出なので、どうしても国立へ行けといっている。それで毎日ケンカをして、このところ勉強もはかどらない。

さて卦は「人に従え、情況に従え」と出たので、あなたは面白くない。「自分の人生は自分で決めるんだ。人にいわれたことに従うなんて冗談じゃない」そこでさらに先を読んでいきます。

すると、本文のほかに初9 、二6、三6、四9、五9 、上6と書かれたメッセージが目につきます。これは爻辞(こうじ)と呼ばれるもので、大意につづく判断の目安です。ただ、これは最初にコインを振ったときに得た数字が6か9の場合の交だけを読みます。7の交は読む必要がないのです。読んでも判断の足しにはなりません。

あなたの出した17番目の卦でいえば、二交が6 、四交が9 、上交が6でしたから、そこを読みます。すると次のように書いてある。

 

二6:あなたの周囲の人問はすべてあなたの成長、繁栄、幸福の協力者である。

四9:あなたの動機はすべてあなたの周囲の者の利益にならなければならない。

上6:信頼できる人から精神的な援助とあらゆる助力を受けなさい。

 

これでわかることは、あなたのいまかかえている問題についての易の回答は、あなたが独断で自分の考えを強行することなく「周囲の意見によく耳を傾けよ」といっている。

こから先はあなたの考え次第ですが、少なくとも易はそのような回答をあなたに与えたことになります。

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)