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キーワード 従う

随。元亨利貞。无咎。

(ずいはおおいにとおるていによろし。とがなし。)

「随」は従う、随行すること。「沢雷随の時、大いに通じる。貞正であれば良い。問題はない」。沢雷随の時は独立して行う時ではなく、 立派な人に従う時です。そしてゆっくりと力を蓄える時です。今はあくせく進まないで無理をせず、一服する時でもあります。サラリーマンの場合は転勤命令が あるかも知れませんが、素直に従ったほうがいいでしょう。臨機応変な対応がポイントです。

 

〔大意〕随はつき従うの意で、この卦は何かに従う気持を持って事に当たればうまくいくということです。だが、従うということには二つの意味があります。

―つは人に従うこと、 もう一つは情況に従うことです。

これは二つとも従うことが大切である。人に従うとは、すべてが従属という意味ではありません。人と協調して物事をすすめていく、と考えたほうが適切です。情況に従うとは、時々刻々変化する情況に対し柔軟な姿勢を保つこと、すなわち流れに逆らわないことです。

従うという言葉の持つイメージは消極的で自主性の欠如を思わせますが、潜在意識の慟きを知っている人には、そこに深い意味があることに気がつくことでしょう。ふつうわれわれが持つ意識、顕在意識はしばしば否定的な方向に傾きがちである。だいたい九割が否定的になるといわれています。

ところがある願望があると、否定的な心理にあるにもかかわらず、それを意志の力で実現しようと無理に行動をしようとする。そういうときの手段の選択はしばしば誤りをおかします。そうならないためには、いったん引いてみる。「自分ではわからないから人に意見を求めてみよう」あるいは「時期を待とう」そうすることによって心に余裕が生まれ、素晴しいアイデアが浮かんだりする。無理な考えや行動は潜在意識は気がついているので、いくら理性に言い聞かせても結果は良くないことが多いのです。

潜在意識に回答を求めることは、ある偉大な存在に身を委ねることです。そうした謙虚さがなくては、ほんとうの柔軟性は生まれてきません。従うことは自然の法則に則ったことといえます。なぜなら人間は誰でもこの宇宙、大自然の法則、たとえば天体の運行の枠から逃れることはできないからです。

 

  • 初9:あなたはあなたの目的を実現するために必要な協力者を見つけなさい。

官有渝。貞吉。出門交有功。

(かんかわるあり。ていきち。もんをいでてまじわればこうあり。)

「官」は勤め先。「渝」は変わること。「勤め先が変わることがある。貞正にして吉。門を出て広く交際していけば良いことがある」。自 分の殻に閉じこもらないで時の流れに順応してよい時です。転職のチャンス。

◎良い時です。

 

  • 二6:あなたの周囲の人間はすべてあなたの成長、繁栄、幸福の協力者である。

係小子。失丈夫。

(しょうしにかかりてじょうぶをうしなう。)

「小子」はつまらない人物。「丈夫」は立派な人物。「つまらない人間に関わっていると、立派な人に見放されてしまう」。小利にこだ わって大利を失う時です。何があなたにとって本当に大切であるのかを見極めることです。

◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。

 

  • 三6:より大きなもののために小さなものはあきらめなければならない。

係丈夫。失小子。隨有求得。利居貞。

(じょうぶにかかりて。しょうしをうしなう。したがいてもとむるあればう。ていにおるによろし。)

「丈夫」は立派な人物。「小子」はつまらない人物。「立派な人物に関わっていると、つまらない人たちが寄りつかなくなる。立派な人に 従っていれば、求めるものが得られる。貞正を守るのが良い」。まさに「寄らば大樹の陰」で、賢人や目上の人に従って意見を求める時です。先々のことを考え て、冷静に行動することが大切です。

 

  • 四9:あなたの動機はすべてあなたの周囲の者の利益にならなければならない。

隨有獲。貞凶。有孚在道以明何咎。

(したがいてうるあり。ただしけれどもきょう。まことありみちにありもってあきらかならばなんのとがあらん。)

「従って獲物を得る。その行為は貞正であっても凶。だが、誠をもって道を守り賢明であれば何の問題があろうか」。得意先からワイロや リベートをもらうようでは駄目。何かと疑われやすい時なので、気持ちを引き締めて謙虚に社長に従いましょう。

 

  • 五9:最善の期待を胸に行動すれば豊かな収穫が得れるだろう。

孚于嘉。吉。

(よきにまことあり。きち。)

「誠をもって善に従う。吉」。上からも下からも絶大な信頼を置かれています。人間関係のすばらしさがすべてにプラスに作用する時で す。

◎大変良い時です。

 

  • 上6:信頼できる人から精神的な援助とあらゆる助力を受けなさい。

拘係之。乃從維之。王用亨于西山。

(これをこうけいす。すなわちしたがいてこれをつなぐ。おうもちいてせいざんにきょうす。)

「拘係」はつなぎ留めること。「西山」は周の岐山のこと。「亨」は祭祀を行うこと。「人心をつなぎ留める。すなわち、民が縄をつけて 引っ張られるように従ってくる。王は西山で祭祀を行う」。団結力が強いのはよいのですが、ちょっと窮屈さを感じる時です。ご先祖を祭りましょう。

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)及び以下を参照しています。

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