◇占いの前にテーマ(質問)を決定する
占いをするときは、あなたは何の指針を求めるのか、自分であらかじ め決定しておかなければなりません。ただ漠然とコインを投げ、数値を得て六十四卦の一つをながめても、何も語りかけてはこないでしょう。
テーマは自由であることはいうまでもありませんが、できるだけ明確で、またしぼりこんだ質問形式が適当です。たとえば、あなたが受験生であったとしたら、「自分はどこ大学を受験したらいいのか」といった質問をするのです。「受かるかどうか」といった形の質問も悪くはないが、いきなりそういう質間を出すよりは「どんな大学がいいのか」といった、ゆるやかな質問から入るほうが心理的に健康です。
なぜかというと、易の解釈というものは、たぶんに抽象的で、しかも根本思想たる陰陽思想は前述したように「変化してやまない」ものですから、「どんな大学がいいか」といった質問には有益な答を出せるが「受かるか否か」には明快な回答を出さないかも知れません。そんな中から無理にどっちかの答を引き出すことは、錯誤のもとであり、第一、そんな決定論的に未来を見ること自体が好ましいことではありません。
極端ないい方をすれば「受かる」と出たら、もう勉強をする必要はなくなり、「受からない」と出たら受験することが無駄ということになってしまう。こういう答によって自を追い込むような質問は易には適切ではありません。 易はあくまで現状を良いほうへもって行くための指針を得るためのものなのです。
適切な質問とは、たとえば次のようなものです。
- どんな会社に就職したらいいのだろうか?
- いま来ている土地投資の話に乗ったほうがいいか?
- いまの恋人と結婚すべきだろうか?
- この会社でのわたし の将来は?
- 会社をやめるべきだろうか?
- 三年も浪人をしたが、大学受験をあきらめるべきだろうか?
- どんな職業がわたしに適しているのか
- わたしの健康を損ねた原因は何だったのか?
- 上司とどうやったらうまくいくのだろうか?
- この新しい計画は成功するだろうか?
ほんの一例ですが、自分にとって重大と思われ、また、指針が欲しい真面目なテーマついて、できるだけ肯定的な問いとして発することが肝心なことです。たとえば、会社で上司とうまくいってない人が「あの上司の運命はこれからどうなる」、職場のライバルの好調が気になる人が「奴の足を引っばるにはどうしたらいいか」などという質問をするのはよくない。同じことでも「どうしたら上司の気に入られるか」「ライバルに勝つには自分は何をすべきか」という形の問いにするべきです。
「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)