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臨。元亨利貞。至于八月有凶。

(りんはおおいにとおるていによろし。はちがつにいたりて、きょうあり。)

「臨」は臨機応変の臨、臨むということ。「地沢臨の時、大いに通じる。貞正であれば良い。八月に至ると凶あり。」勝海舟が幕末に希望 に燃えて太平洋を横断した時の舟名「咸臨丸」はこの卦からとられたものです。旧12月は現在の1月で、陽が長じ始めた「地沢臨」に当たり、また、旧8月は 現在の9月で、陽が衰え始めた「20風地観」に当たります。地沢臨の今は春爛漫の時、希望に燃えて進みましょう。新規の計画も良し、会社の中では地位の昇 進や昇給もあるでしょう。しかし、いずれは満開の花も散ることを心して進むべきです。

 

 

〔大意〕幸運は近くまできている。もしあなたが人の道を誤らずに歩くなら、それはあなたのものになるだろう。『易経』には「臨は、元いに亨りて貞しきに利ろし」とあります。これから良くなるという卦ですから悪くはありません。

ただそれは近くまで来ているが、まだ到着はしていない。だから油断は禁物であり、注意はいままで以上にしなければならない。春がもうそこまで来ているからと、冬物の衣類をしまい込み、暖房を取りはずしてしまったら、急に冷え込んで風邪を引いてしまったということにならないように気をつけなければなりません。

同時に消極的ではいけない。調子に乗ることは戒めなければならないが、積極的に運をつかむことはしなくてはなりません。そのために必要なのは肯定的に考えることです。

幸運が目前といってもそれはまだつかんだものではない。期待可能性の段階です。こういうときの心理状態はきわめて重要である。

心構え一つで、つかむか逃がすかまったく正反対の結果が出る。もしこの段階で「だめかも知れない」と思ったら、確実にだめになるでしょう。実際、とかく周囲の否定的意見というものには説得力がある。大勢の人から「無理だ」「危険だ」「あぶない」などといわれると、その気になってしまう。しかしマーフィー博士はいいます。

「大海の水がぜんぶ集まってもその水が船の中に入らないかぎりは船は沈まない。否定的な考えもあなたの心が抱かない限りは、あなたを傷つけることはない」せっかくのチャンスを逃しやすい人は、このマーフィー博士の言葉を忘れてはなりません。調子に乗ってはいけないが、この卦が出たら幸運をつかむ絶好のチャンスが訪れたことを信じて、積極的な行動を取るべきです。

 

  • 初9:あらゆる良いことがあなたの前に開かれている。

咸臨。貞吉。

(みなのぞむ。ていきち。)

「互いに感じて臨む。貞正にして吉」。心を一つにして協力して進む時です。感動する心が大切なのです。

◎良い時です。

 

  • 二9:必要な知恵、力、アイデアはあなたに与えられる

咸臨。吉。无不利。

(みなのぞむ。きち。よろしからざるなし。)

「互いに感じて臨む。吉でよろしい」。信頼が厚く、すべて順調に進みます。意気に感じて進んでよい時です。

◎良い時です。

 

  • 三6:物事の変化に不注意、無関心な態度をとってはならない。

甘臨。无攸利。既憂之无咎。

(あまくのぞむ。よろしきところなし。すでにこれをうれうればとがなし。)

「甘く臨んで、良いことはない。すでにこのことに気がついておれば問題はない」。あなたは口先だけで人に臨もうとしています。甘い、 甘い。不実は失敗の元です。

◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。

 

  • 四6:全力を傾注して事に当たれ。

至臨。无咎。

(いたりてのぞむ。とがなし。)

「至誠をもって臨む。問題はない」。あなたの真心あふれる態度が幸せを招きます。部下などの有能な協力者に一任する時。

◎大変良い時です。

 

  • 五6:自分は力を持ちチャンスにも恵まれていることを実感せよ。

知臨。大君之宜。吉。

(しりてのぞむ。たいくんのぎ。きち。)

「相手を知って臨む。王としてふさわしい。吉」。知恵多きあなたは、やはり知恵ある人を選び、うまく用いることで成功するでしょう。

◎大変良い時です。

 

  • 上6:人のためにあなたの活力を使いなさい。

敦臨。吉。无咎。

(のぞむにあつし。きち。とがなし。)

「篤実の心で臨む。吉で問題はない」。人情たっぷり、誠の心で進みましょう。

◎大変良い時です。

 

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)及び以下を参照しています。

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