◎ 他人に勝とうとするから挫折する ◎
一 目標のためには生きられない
人生とは難しいものである。
(1)人は荒野でひとりで生きていくのは寂しい。だから都市に群れる。
(2)人は目標を持つ。その目標の多くは「人よりよくなること」である。
(3)人は目標がなければだらけてしまう。
この三つの矛盾を抱えて、人間は悩む。いわば、自分で創り出した、解決のできない悩みである。
(1)ひとりで生きることができないのだから、一緒に生きてくれる人に感謝しなければならない。
(2)だから、感謝すべき人より自分がよくなろうとするのは、恩知らずというものである。
(3)しかし、目標はどうしても必要だ。
この矛盾をなくし、悩みのない人生を送るためには、どうしたらよいだろうか。
毎日を目標の達成のために生きる人がいる。その典型が「大学受験生」である。受験生は、すべての生活を大学合格という目標に捧げる。まれに受験時代が充実している人もいるが、多くの学生は苦しむ。そして、この時期に勉強が嫌いになる人も多い。
長い人生、ひととき受験時代を過ごすことも悪くはない。だが、それは「若いこと」と「一時期であること」が条件である。人生を「目標のために生きる」と苦しい。
人間は、目標のためには生きることができない。人間に生きる力を与えてくれるのは、次の二つである。
(1)目標があっても、その目標が達成されるかどうかには関心を持たないこと。
(2)自分のためではなく、愛する人のために生きること。
それしか生きる方法はない。
『武田邦彦の科学的人生論』飯塚書店刊より R081106
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