◎ 人生には「目標」はない とする ◎『武田邦彦の科学的人生論』飯塚書店刊より

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◎ 人生には「目標」はない とする ◎

このよい例が全国高校野球大会、つまり甲子園である。何千人もの球児が参加して優勝はたった一校。後は全部挫折する。もし野球をやる目的に「優勝すること」という目標を置いたら、100人中99人は何のために野球をするのかがわからなくなる。なぜならば、悔しい思いをするために頑張るのだから。
甲子園ならその程度ですむ。これが人生となるともっと厳しい。自分の人生の目標を立て、頑張って目標を達成しても、早晩、人間は老いて死ぬ。生きている間、目標を達成するように時間を過ごすと、自分の人生は「自分のもの」ではなく「目標のためのもの」として過ぎていく。そして時間だけを失い、老いて死ぬ。そこに、人生の意義を見つけることはできない。
だから目標を置いた人生は100人が100人とも挫折する。社長になればなるほど空しい。社長になるまでの時間は「目標のための時間」として過ぎていき、社長になると「目標を失った毎日」を送ることになるからである。
本当の人生とはどういうものだろうか?野球をするのは野球が好きだからだ。だから一所懸命ボールを追いかけるし、監督に叱られても苦にならない。なぜなら自分が好きでやっている野球だ。監督のためにやっているのではない。もちろん勝負だから勝った方が嬉しいが、それは「懸命にやった結果」であって、勝つことを目的としている訳ではない。
一球入魂して投球し、無心に打席に立ったから、結果として勝ったのであって、勝とうと思ったら邪念が入って苦しいし、かえってヘマをする。
繰り返しになるが、人生には「目標」はない。「行為」そのものを目的とするのが人生なのである。毎日学校に行くのが当たり前だった頃、授業では一所懸命、先生の話を聞くのが当たり前だったあの頃、なぜ無心でいられたのだろうか?
それは「目標」がなかったからだ。「やること」そのものが生きている証であり、「やること」に「全力を注ぐ」ことが唯一の目的だった。その結果として来るものはあちらから来るのであって、自分が求めたものではなかった。

『武田邦彦の科学的人生論』飯塚書店刊より R081014

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おてんとうさまの下で
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