◆ 第二部 AI革命による持続可能な社会 ◆「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房より

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◆ 第二部 AI革命による持続可能な社会 ◆

第5章 なぜ自由と平等の世界が実現しないのか

「力が正義」欧米流の思想

この第2部では、多様で持続可能な社会を構築していく上での、本質的な問題を検証していきたいと思います。
なぜ「自由と平等」の世界が実現しないのでしょうかー。
それは、我々の社会にはある種の”正義“が根底にあり、それを基にして様々な社会システムが構築されているからです。このことを理解せずに、いくら「自由と平等」の旗を立てようとしても上手くいくはずはないのです。

人間社会は、大きく分けて2つの「正義」によって発展してきました。

・「力が正義」(主に、欧米)
・「自然が正義」(主に、日本)

欧米流の「力が正義」という思想では、力のない者は必然的に下層に落ちていきます。
例えば、紀元前600年あたりの現在のギリシア地域では奴隷が多くいました。当時のギリシアは、典型的なポリス(都市国家)※21であり、その中でも代表的なポリスがスパルタとアテネです。
そこでは、約10%が普通の市民、約30%が下層市民、そして残りの約60%が奴隷でした。
奴隷はもちろん、下層市民も多くの権利が奪われていましたので、自由という権利を持っている市民はわずか10%だったのです。
ギリシア哲学は今でも非常に占回く評価されており、ソクラテスやプラトン、アリストテレスなどは世界各国に多大な影響を及ぼしました。古代ギリシアの哲学者を強く尊敬している日本の文化人も多いのですが、私はまったく意見が違います。
なぜなら、奴隷を使っても平然としている、自分たちの階層さえ良ければいいという精神構造の中で考えられた国家観や社会理念は信用できないからです。
さらに注意しなければならないのは、欧米思想には「二面性」があるということです。
実際に暮らしている生活と、自分たちが正しいと思う考え方がまったく違うのです。
これは16世紀以降のヨーロッパにも現れています。いわゆる白人たちは有色人種の国や地域を植民地にし、その住民たちを働かせ、その富で自分たちはコーヒーを飲み、ケーキを食べ、綺麗な着物を着て、ピアノを弾いている……。その状況で、正義や自由というものを議論していたのです。
そして、動物に対する見方も同様です。欧米の宗教(キリスト教など)では、人間だけが神様に似せてつくられていて、その他の動物はほとんど無視していいという扱いです。
また、人種や性別による差別も大きく、ヨーロッパの宣言文などを訳すときに、「人は平等である」と記載のあるその「人」とは「白人男性に限る」という場合が多いのです。

※21 ポリス(都市国家)
紀元前8世紀のギリシアで生まれた「部市国家」を指す言藻。小規校な国家のような形態をしており、その中にはアゴラと呼ばれる公共広場や、アクロボリスと呼ばれる神殿などが建てられている斤があった。また、ポリスの中には巾民という概念があり、奴隷も存在した。

「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房 令和6年刊より
R080726

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