連載・AGI時代を、おてんとうさまの下で生きる 第 七 回 資産と信用円預金だけでは守れない時代の資産形成
資産と信用
円預金だけでは守れない時代の資産形成
お金は、資産の一つに過ぎない。
最も大切な資産は、
人が寄せてくれる信用である。
はじめに、お断りしておく
この連載は、投資の指南書ではない。私は金融の専門家でもない。具体的に「これを買いなさい」「あれを売りなさい」と申し上げる立場には、ない。
しかし、七十三歳になり、自分なりに金融の世界を眺めてきた一人の日本人として、原則論・視座・問いかけの範囲で、共に考えてみたいと思う。
具体的な判断は、どうか、皆様ご自身と、信頼できる専門家にご相談いただきたい。この一点は、最初に強く申し上げておく。
第六回からの、繋ぎ
前回、私は「使いこなす人・深める人・繋ぐ人」という三つのポジションの話を申し上げた。どのポジションに立っても、誠実に働き続ければ、大電さん時代にも道は開ける、と。
しかし、多くの方にとって、働く目的はやりがいだけではない。家族を養い、老後に備え、生活の土台を築くためでもある。
そこで今日は、大電さん時代の「資産」について、少し踏み込んで考えてみたい。
「円預金一辺倒」という、日本人の癖
日本人の金融資産の半分以上は、現金か預金で保有されている、と言われている。これは、欧米諸国と比べて、極めて高い割合である。
この背景には、日本の歴史がある。
戦後の長い間、日本では物価が穏やかに安定し、銀行預金の利率もそれなりにあり、円を預金しておけば、自然に資産が守られる時代が続いた。高度成長期に貯金した一万円は、十年後も概ね一万円の価値を保っていた。
しかし、ここ数年の世界を見渡していただきたい。
世界は、これまで経験したことのない速さで、変わり始めている。物価は世界的に上がり、為替は激しく動き、金融政策も国ごとに方向が分かれた。そして、電脳さん革命が、この変化の速さを、さらに加速している。
この時代において、「円預金だけで、一生守り切る」という発想は、少なくとも見直す価値のある前提だと、私は考えている。
なぜ、円預金だけでは不安なのか
理由を、三つだけ申し上げたい。
◈ 理 由 そ の 一 ― イ ン フ レ の 静 か な 浸 食 ―
物価が上がり続けると、同じ一万円で買える物の量が、年々減っていく。預金の「数字」は変わらなくても、その一万円で生活できる実力は、少しずつ痩せていく。
これは、銀行の金利が、物価の上昇に追いつかない限り、避けられない。年に一、二パーセントずつでも、長い時間が経つと、大きな差になる。
◈ 理 由 そ の 二 ― 為 替 変 動 の 大 き さ ―
円は、世界の通貨の中で、大きく動く通貨になっている。円の価値がどう動くかは、日本の金融政策だけでなく、アメリカの金利、中国の景気、地政学など、多くの要因で決まる。
日本で暮らしているうちは、円の価値の変動に気づきにくい。しかし、海外からの輸入品の値段、海外旅行の費用、そして日本企業の業績——これらを通して、じわじわと生活に響いてくる。
◈ 理 由 そ の 三 ― 経 済 安 全 保 障 の 不 確 実 性 ―
米中の対立、エネルギー資源の争奪、半導体や食糧の供給網の不安定さ——これらの問題は、個人の努力とは無関係に、通貨の価値を揺さぶる。
円に全てを預けている状態は、こうした国際情勢の変動に、全面的に晒されているということでもある。
これらの理由から、「円預金だけに全資産を置く」という発想は、一度見直してみる価値があると、私は考えている。
ただし、繰り返すが、これは「円預金はやめなさい」と申し上げているのではない。一つの籠(かご)に、卵を全部入れないという、古来からの知恵の話である。
「分散」という、静かな智慧
金融の世界には、古くから伝わる基本的な考え方がいくつかある。そのなかで、最も普遍的なものが、「分散」である。
一つの籠に全ての卵を入れると、その籠が落ちたとき、すべてが割れてしまう。複数の籠に分けておけば、一つが落ちても、残りは守られる。単純な話である。
この分散には、いくつかの軸がある。
◈ 分 散 の 、 四 つ の 軸
通貨の分散——円、米ドル、その他、複数の通貨に分けて持つ。
資産の種類の分散——預金、債券、株式、不動産、貴金属など、違う性質の資産に分けて持つ。
地域の分散——日本、アメリカ、欧州、新興国など、異なる地域の経済圏に分けて持つ。
時間の分散——一度にまとめて動かさず、数年かけて少しずつ配分を変えていく。
この四つの軸を、少しでも意識するだけで、資産のあり方は健全になっていく。
ただし——具体的にどの通貨をいくら、どの資産を何割、ということは、ご年齢、ご家族の状況、収入の安定性、リスクへの気性などによって、答えが全く変わってくる。これこそ、専門家に相談していただく領域である。
電脳さんに相談してみるのも、一つの出発点になる。電脳さんは、あなたの状況を聞いた上で、基本的な整理をしてくれる。ただし、これも最終判断ではない。出発点の整理として使う、という距離感がよい。
大電さん時代の、新しい資産
ここまでは、伝統的な資産の話であった。
大電さん時代には、これに加えて、新しい形の資産が現れつつある。
たとえば、デジタル化された知的財産、ブロックチェーンで権利関係を記録できる著作物、データそのものの価値——こうしたものが、これからの時代の資産の候補として、現実味を帯びてきている。
私自身、東京郷友連盟での活動の一環として、ブロックチェーンを用いた新しい著作権保護の仕組みを提案し、検討している。古い書物をデジタル化した際、誰がいつ、どの形で、その情報を使ったのかを、改ざんできない形で記録し、対価が正しく流れる仕組みを作る——そういう構想である。
これは、新しい形の「資産」と「信用」の融合でもある。技術が、人と人の間の信頼を、より透明に、より確実に媒介する。そういう時代が、もう目の前に来ている。
ただし、これも現時点では、まだ発展途上の領域である。興味のある方は情報を集め始めていただきたいが、投機的な動きには巻き込まれぬよう、ご注意いただきたい。新しい技術と、投機は、全く別のものである。
ここからが、本題である
ここまで、お金の話を申し上げてきた。
しかし、この連載の本当に伝えたい話は、ここからである。
数字で測れる資産の話には、限界がある。なぜなら、人間が豊かに生きるために本当に必要なものは、数字では表しきれないからだ。
そして、日本人が古来、最も大切にしてきたのは、実は「信用」という、もう一つの資産であった。
「信用」という、見えない資産
江戸時代の商家には、こんな家訓が伝わっていた。
蔵の中の金子(きんす)より、
暖簾(のれん)の上の信用を大切にせよ。
金子は失えば取り戻せるが、
信用は失えば二度と戻らぬ。
これは、商人の知恵である。同時に、日本人全体の、深いところにある知恵でもある。
信用とは、人々があなたに寄せてくれる、無言の信頼である。その人ならきっと誠実に応じてくれる、その人が言うなら本当だろう、その人とならまた一緒に仕事がしたい——こうした、目には見えない、しかし圧倒的に力強い資産である。
この信用こそが、大電さん時代において、最も価値の高い資産になる、と私は確信している。
なぜ、大電さん時代に信用が最重要なのか
理由がある。
大電さんが世の中に広まると、情報は溢れ、もっともらしい文章は誰でも作れるようになる。偽の情報、偽の画像、偽の声、偽の映像——これらが氾濫する時代が、もう始まっている。
このような時代において、人々は何を信じればよいのか。
答えは一つである。信頼できる「人」である。
もっともらしい情報が大電さんから無限に生み出される時代には、逆説的に、「この人が言うことなら信じられる」という、人への信頼が、何よりも価値を持つ。
あなたが持っている信用——家族、友人、同僚、取引先、地域の人々、お客様——これらが寄せてくれている信頼の総量こそが、大電さん時代の、あなたの真の資産なのである。
信用は、どうやって積み上げるのか
では、信用という資産を、どうやって積み上げればよいのか。
これは、実は、昔から変わらない。
◈ 信 用 を 積 み 上 げ る 、 四 つ の 姿 勢
一、約束を守る——小さな約束でも、必ず守る。できない約束は、最初からしない。
二、嘘をつかない——言い繕わない。間違えたら、素直に認める。知らないことは、知らないと言う。
三、長く続ける——華々しい一度の成功より、地道に長く続けることが、信用を厚くする。
四、相手を大切にする——損得を超えて、相手の立場に立って考える。これが、日本人が「恩」と呼んできたものの本質である。
この四つは、日本人なら、子供の頃から知っていることだ。特別な技術は、何もいらない。ただ、毎日、誠実に生きる。それだけである。
ところが、この当たり前が、どれほど強い資産になるかを、多くの方は見落とされている。
第一回で申し上げた「至誠」という言葉が、ここでもう一度、意味を持つ。至誠こそが、信用の最も深い源泉である。
三つの「見えない資産」
信用のほかにも、大電さん時代に価値を持つ「見えない資産」が、いくつかある。大切なものを、三つだけ申し上げたい。
◈ 見 え な い 資 産 そ の 一 ― 家 族 と い う 資 産 ―
共に暮らし、助け合える家族がいるということ。これほど大きな資産は、ない。
時代がどう変わろうと、家族の間の絆があれば、人は倒れない。家族を大切にすることは、資産形成の、最も根本的な行為である。
◈ 見 え な い 資 産 そ の 二 ― 健 康 と い う 資 産 ―
どれほど金融資産を積み上げても、健康を損なえば、それを使う余裕がなくなる。
毎日少しずつ歩く、よく眠る、適度に食べる、心配しすぎない——これらの日々の積み重ねが、最も利回りの高い投資である。
◈ 見 え な い 資 産 そ の 三 ― 学 び 続 け る 習 慣 ―
新しいことを学ぶ姿勢を、死ぬまで持ち続けること。これもまた、代えがたい資産である。
大電さんと対話することも、学びの一つの形である。私自身、七十三歳になって、電脳さんから毎日のように新しいことを教わっている。学び続ける限り、人は古びない。
家族、健康、学び。そして信用。この四つの「見えない資産」を、まず土台に据える。その上に、お金の資産を、健全に分散して積む。これが、大電さん時代の、健全な資産形成の姿だと、私は考えている。
日本人の「勿体無い(もったいない)」を、思い出す
最後に、日本人の資産観について、一つ申し上げておきたい。
「勿体無い」という言葉を、私たちは普段、何気なく使う。
しかしこの言葉は、世界で注目されている日本語である。単に「無駄にしたくない」という節約の言葉ではない。物にも、食べ物にも、時間にも、縁にも、そのものの尊さを感じる心——それが勿体無いの本質である。
勿体無いという感覚を持っていれば、お金を盲目的に追いかけることは、なくなる。今持っているもの、今関わっている人、今与えられている時間——これらを、大切にする心が自然と働くからだ。
大電さん時代にあっても、日本人は、この感覚を失わずにいたい。これは、単なる美徳の話ではない。資産運用の、最も確かな土台である。
なぜなら、あまりにも多くのものを消費し、浪費し、捨てる社会は、長期的には疲弊するからだ。勿体無いの心を持ち続ける人は、自然と、長く豊かに暮らせる。
今日、心に留めていただきたい、一つのこと
この回で、もし一つだけ持ち帰っていただけるなら、これである。
お金の資産は、分散する。
しかし、信用という資産は、一点に集める。
その一点は、あなた自身の、誠実な生き方である。
分散と集中、この両方が同時に必要である。矛盾しているようでいて、両方が真である。これは、第一回で申し上げた量子論的な二つの真実の、また一つの形である。
お金は、複数の籠に分けて守る。しかし信用は、あなた自身という一つの場所に、集めて育てる。
この二つを並行して実践していれば、大電さん時代が、どんなに激しく変わっても、あなたの根は揺るがない。
今 日 の 一 歩
紙に、二つのことを書いてみてほしい。
一つ目。自分の金融資産は、今、どこに、どれくらい置いているか。預金、株、保険、不動産——ざっくりでよい。そして、それが一つの籠に偏っていないかを、眺めてみる。
二つ目。自分に信用を寄せてくれている人を、思い浮かべる限り書き出してみる。家族、古い友人、同僚、お客様、地域の方——思った以上に、多いはずだ。
この二つを並べて眺めると、自分の本当の資産の姿が、見えてくる。そして、これからどちらを、どう育てていけばよいか、自然と分かってくる。
数字で測れない資産は、誠実に積む。
両方を持つ者が、
大電さん時代を豊かに生きる。
本日は、金融に関する踏み込んだ具体論は、あえて避けさせていただきました。しかし、資産について考えたこと、信用という視座に触れた感想、ご自身の経験——どんなことでも、お寄せください。
なお、具体的な金融判断については、必ずご自身と信頼できる専門家にご相談いただきますよう、改めて申し上げます。
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