連載:至誠の覚醒 第三十一話 伝説の先輩

Uncategorized

連載:至誠の覚醒 第三十一話 伝説の先輩
塾には、伝説的な先輩がいた。
桧山先輩だ。桧山広氏の息子さんだった。筒田先生は、桧山先輩のことを大変ほめたたえた。先生がそれほど言う人物を、私は会う前から目標にしていた。
武勇伝は無数にあった。
山行で子どもの具合が悪くなると、背負って走った。麓の山荘まで、走って送り届けた。険しい山道を、子どもを背負って走る。それが桧山先輩だった。体力だけの話ではない。判断が速く、迷いがなかった。子どものために体を張る、ということを当然のこととしてやる人だった。
私には到底できないと思った。それでも目標にした。
桧山先輩は結局、普通の就職はしなかった。活動家だった先輩は、滋賀県の福祉関係の職員になられた。大学を卒業するとき、私はその施設を訪ねた。父親のトヨタのマークIIを借りて、颯爽と乗りつけた。
施設では、またいろいろなものを見た。桧山先輩の生き方の続きが、そこにあった。
帰り道、先輩の後輩にあたる女性を家まで送ることになった。マークIIで走っていると、前を走る車から大きな荷物が落ちてきた。避ける間もなかった。荷物は運転席側のドアに直撃し、ドアをもぎ取った。
女性は無事だった。私も無事だった。
しかしその後どうやって始末をつけたのか、まったく記憶がない。父親にどう説明したのか。保険はどうしたのか。相手はどうなったのか。何も覚えていない。
覚えていないということは、何とかなったのだと思う。
人生には、そういうことがある。前後の記憶だけが残って、肝心の部分が抜け落ちている。それでも生きてきた。何とかなってきた。
桧山先輩は今もどこかで、誰かのために体を張っているだろうか。

(つづく)R080409

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【無料】牧正人史式 姓名科学 解析システム
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
#牧正人史 #マシレ予測 #姓名科学

コメント

ハウスワークサービス多摩店をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

タイトルとURLをコピーしました