「ウイルス干渉」も知らない、いい加減な専門家
新型コロナは病気の症状としても、報道されているほど酷いものではありません。
私も2021年9月にかかりましたから体験的にもよくわかります。私の場合は咳が出て倦怠感を覚えたぐらいでした。
PCR陽性者のうちの2割ぐらいは中程度かもしくは重症になる人もいます。しかしこれは一般的な風邪やインフルエンザでも同じぐらいの割合ですから、結局最初の東京都医師会研究チームの判断は正しかったということになります。
さらに、2022年から流行したオミクロン株という変異株では、治療している医師が、無症状20%、、病院にもいかないような軽い症状49%、病院に行く程度の症状1%、死亡0.01%と言っています。
つまり、当初は少し新しいインフルエンザと同等かそれより軽い風邪が発生したという判断でしたし、結果的にもそれは間違っていなかったのです。

もう1つの結果として、新型コロナの流行によりインフルエンザの流行が抑えられたということもあります。
ウイルスの世界には、「ウイルス干渉」というものがあります。これについては様々な論文が出ていますが、簡単に言えば「ウイルス同士が宿主の奪い合いを行い、一つのウイルスが流行すれば、もう一方はおさまっていく」ということです。
その戦いにおいて新型コロナウイルスはいくらか強力だったのでしょう。新型コロナが流行していたこの約2年の間、インフルエンザ の流行はほとんど見られませんでした。
いい加減な専門家はインフルエンザが流行しなかったことについて、「みんながマスクをしたからだ」「感染対策をきちんとしたからだ」などと言うのですが、そうではありません。新型コロナとインフルエンザでは流行の時期が異なります。科学的にはまったく根拠がないことは明らかです。
この本は「理系思考」をもとに書かれていますが、「新型コロナが流行したら、インフルエンザが減少した」というのは “事実”ですし、その理由は複数あります。ですから、「マ スクや自粛が、新型コロナに有効だった」というのであれば、マスクと自粛が行われてから流行が収まったという“事実”がなければなりません。
しかし“事実”は、2020年初頭から新型コロナの感染者は急激に減少しています。マスクなどが社会に普及する2カ月も前のことです。このようなことをきちんと考えるのが「理系思考」な のです。
ともかく私としては、なぜたいしたことのない新型コロナを、これほどの恐怖心で国民が受け止めたのか―――が、最大の問題であろうと思うのです。
『「新型コロナ」「EV脱炭素」「SDGs」の大ウソ』武田邦彦著 ビジネス社刊
20240403 P118