警察はマスクを強制できない

それだけでなく、「ホンモノ」の警察もおかしなことになってしまいました。
具体的に私が知っている例を挙げます。
私がテレビに出演している時にTVで流れていた話です。埼玉県の狭山警察署で
「マスクをしなければ、自動車免許の更新を受け付けない」と窓口で言われたというのです。
私自身が免許証の更新に行った時にも同じことがありました。優しい言い方ではありましたが「マスクを着けてください。マスクを着けていないと、免許の更新を受け付けないことにしています」と言われたのです。
これは非常に大きな問題です。警察は、法律で決まっていないことは取り締まらないのが鉄則だからです。

たとえば、ある道幅が広い道路で、「制限速度は50キロになっているけれど、60キロで走っても危なくないな」と多くの利用者がそう思っていたとしても、警察としては制限速度が50キロになっている限りは50キロをオーバーすると検挙します。しかし、50キロをオーバーしなければ検挙しない。これが基本です。
新型コロナの流行によって「マスクを着用することを義務付ける」ということであれば、国会で決めることができます。もしくは、地方自治体が条例をつくることもできたでしょう。
健康上の理由などから一律での着用は無理であっても「医師の許可などがあれば着けなくてもいい」と一条付け加えておいて、許可証のようなものを持っていればマスクを着けなくてもいいとするなど、やり方はいろいろあります。
しかし、現実にはそんな法律も条令もありません。それなのに警察という公権力が 取り締まりとまではいわないにせよ、マスク着用を強制するような動きをしたことを私は恐ろしいことだと危惧します。少なくとも私が戦後の日本社会を見てきたなかで、こういったことはありませんでした。

『「新型コロナ」「EV脱炭素」「SDGs」の大ウソ』武田邦彦著 ビジネス社刊
R060303 P33