明治以来、日本人は欧米コンプレックスの中にいます。本当は日本の江戸時代の文化はなかなかユニークで素晴らしかったのですが、幕末から明治にかけて欧米列強が強大な海軍力を背景に日本に迫ると、日本人は一気に欧米派になり、その文化をまねることになります。日本人の良い点でもあり、悪い点でもあります。
リサイクルでもその傾向があります。
「ヨーロッパを見ろ! 環境問題にあれほど熱心で、リサイクルに本格的に取り組んでいる!」とお叱りを受けます。叱っている人は税金でドイツに視察に行った学者や評論家であったりするので、こちらはドイツに視察に行っていない弱みで反論できません。
このようにョーロッバはリサイクルが進んでいるといわれています。専門家はそういっているのですが、普通の人はヨーロッパにたびたび旅行するわけにはいきませんし、たまにドイツに行っても役所に行ってリサイクル事情を聞いたり、リサイクル工場を見たりしないからです。「ヨーロッパはリサイクルが進んでいるか?」を整理しました。
ヨーロッパは年間二四〇〇万トンのプラスチックを生産していますが、そのうち一六〇〇万トンがゴミとして返ってきます。そのほかの八〇〇万トンは土の中に埋まったり、どこかに風で飛んでいったり、たとえば自動車のタイヤなどは使っているうちに一五%が空気中に小さい微粒子となって飛散します。八〇〇万トンという数字は大変に大きな数字ですが、西ヨーロッパ全体ですからその程度が分からなくなるのも仕方がないかもしれません。
回収された一六〇〇万トンのうち、約七〇%が埋め立て、二〇%が焼却です。そして七%がリサイクルに回されます。「七%がリサイクルに回された」といっても、「七%がリサイクル品になった」ということではありません。実際にどの程度のものがリサイクル品として使われているかは調べても分からないのですが、おそらく数%でしょう。たとえば、二四〇〇万トンの消費量のうち、二%、おおよそ五〇万トン程度がリサイクルされていると思われます。
ヨーロッパと一口にいっても、国によって大きくその状態は異なります。特にドイツやデンマークは環境やリサイクルに熱心ですが、フランスやイギリスはそれほどでもありません。特にフランスのリサイクル率は〇・八%と報告されています。さすがにフランス人は「自由、平等、博愛」のために何度も血を流して戦った民族だけに、自由や個人の尊厳に対しては筋金入りです。フランスには自動車の速度制限があまりありませんし、人のしていることに介入する習慣もありません。駐車違反をとがめようとしても「フランスの国土は俺の自由だ」といわれそうな国です。フランスにはリサイクルは似合いません。そしてフランスの人口は日本の三分の一以下で、国土は同じくらい、基本的に農業国なので現実と深く結びつき、浮ついたところも少ないのがフランスです。
『リサイクル汚染列島』(青春出版社)武田邦彦著より
0