登の弟や妹は、みな早くからよそへやられました。
八つばかりになる弟が、ほかへ連れて行かれる時、登は弟の不幸せを悲しんで、雪が降って寒いのに、遠いところまで送って行って別れました。
その弟が知らない人に手を引かれ、うしろを振り向きながら別れて行った姿が、あまりにかわいそうであったので、登はいつまでもその時のことを思い出して嘆きました。
『国民の修身』監修 渡辺昇一