我等が世間の人と共々に生活するには、知ってゐる人にも知らない人にも禮儀を守ることが大切です。
禮儀を守らないと人に不快の念を起させ、また自分の品位をおとすことになります。
人の前に出る時には、頭髪や手足を消潔にし、着物のきかたにも氣をつけて、身なりをととのへなければ失禮です。人と食事をする時には、音を立てたり、食器をらんざつにしたりしないで、行儀をよくして、愉快な心持てたべるやうにしなければなりません。又室の出はいりには、戸・障子のあけたてを静かにするものです。
汽車・汽船・電車などに乗った時には、互に氣をつけて人に迷惑をかけないやうにすることが必要です。自分だけ席を廣くとったり、不行儀ななりをしたり、いやしい言葉づかひをしたりしてはなりません。集會場・停車場其の他、人がこみあって順番を守らなければならない場所で、人をおしのけて、われさきにと行つてはなりません。又人の顔かたらやなりふりを笑ひ悪口を言ふのはよくないこどです。
外國人に封して禮儀に氣をつけ、親切にするのは、文明國の人の美風です。
『国民の修身』監修 渡辺昇一