では、四柱推命によれば、何年何月頃に死期が訪れるかを予知することができるかというと、そのようなことは原理的に不可能であると断言できる。四柱推命でわかることは、
◇病気や事故の発生する時期と、その症状の程度とか軽重である。病気や事故の発生時期は推察することができるが、それが原因で死に至るかどうかは、基本的には不明である。
医学の進歩により不治の病が克服され、救急医療体制の整備により、10年、20年前であったなら助からないような病気や怪我も、手遅れとなる前に適切な処置が施され、死を免れることも多くある。また延命処置によって死の瞬間は医学によってコントロールされている面もあり、自然死などというものは今の日本には存在しないかも知れない。こうした現状を考慮するなら、例えば、20年後にかなり大きな病気をするということがわかっても、そのことが原因で必ず死に至るなどと断定はできないのである。
さて、四柱推命によって病気、あるいは事故・怪我を論じる際、四柱推命では日常的な言葉とは少々異なる考え方をしなくてはならないので、まずその点を理解していただくことにする。四柱推命では、

① 内臓の異常によって引き起こされる身体的異常
② 生活の中で、その人の行動・習慣が原因となって発生する身体的異常

という二つに分けて考える。前者には、いわゆる病気が含まれ、後者にはおもに事故が含まれることになる。そして後者には、交通事故、転落事故、等のいわゆる事故と言われるもののほか、感染症、食中毒、手術を必要とするような疾患(例えば、がん)も含まれ、さらに誤診、そして自殺のようなことにも関連することになる。

ただし、ビルの上から落ちてきた物に当たって怪我をするとか、航空機の墜落事故に巻き込まれるとか、通り魔的な事件の被害者になるといった、本人にまったく過失がなく、天変地異と何も変わることがないような事故・事件は、残念ながら四柱推命では予知することはできないと考えなければならない。
例えば、車による人身事故は、連転者と歩行者という、その事故の瞬間まではまったく無関係であった二人のあいだで発生する問題である。事故により運転者は経済的、社会的制裁を受け、歩行者は身体に損傷を被ることになる。こうした事象を四柱推命で何とかして理解しようとすると、遠く離れた、何も縁がないはずの二人の命運が互いに引き合ったのだろうかと、あるいは、何も縁がないのではなく、同時期、同時代に地球上に生きていること自体が、何らかの関連を発生させているのではないかと考えたくなるが、こうしたことを考えているうち、知らぬ間に神秘主義に陥ってしまうのである。この問題については、潔く因果関係を見出そうとすることを止めるのが賢明と考える。四柱推命で知ることができるのは「その人自身のことだけ」である。
この大原則を忘れてはならないのである。
分析心理学者カール・グスタフ・ユングが、「共時性・非因果的連関の原 』という標題の論文で占星術を取り上げ、因果関係を超えた、共時性という連関について論じている。
その内容はとても科学的に扱えるものではない、というのが一般的評価ではあるが、共時性という連関の存在を感じている人は割と多くいるのではないだろうか。しかし、四柱推命の理論的な構成からするなら、共時性などということはあり得ないし、非因果的連関などといったことは机上の空論でしかないと言えるのである。
話を本題に戻すと、印の事象は身体的問題に関わることになり、印の作用を見極めることにより、病気や事故について知ることができるのであるが、事故の場合は、その人の行動が原因となって引き起こした事象であるので、外向きの作用がある食傷が深く関わることになる。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より
https://meiwajuku.com/nsityu4/
http://www.shihei.com/shihei/calc/