次に丹親の影響の見方を説明する。四柱八字において印が日干に隣接しているか、していないか、という視点によって、母親の影響の厚薄を推察するのは、父親の影響の見方と同様であるが、印の場合はやや変則的な見方をしなければならないことがある。それは、日干が強の場合のみ、日干に隣接して印がなくとも、母親の影響はそれなりにあったと見なければならない点である。四柱八字が無財なら父親の影響は希薄であると断定して間違いはないが、無印の場合は、日干の強弱を見ずに影響が希薄であると断定するのは誤りとなる。
日干が弱であるなら、印が日干に隣接し ていたほうが望ましいのであるが、日干弱で印が日干に隣接していない場合は、母親は何らかの事情があって育児に専念できなかったと見ることになる。その理由とし て考えられるもっとも一般的なものは、母親が職業を持っていたこととなる。ごくまれに、母親が育児にあまり熱心ではなかったとか、母親に母親とし ての役目を果たすのに不足する面があったというようなこともある。印が日干に隣接していても、成長期の大運に財が巡り、印を剋してしまうなら、やはり栂親の影響は小さいものと見なければならないことになる。
また、日干に隣接する干の影響は、陽干のほうが陰干より大きいと見ることになり、日千に隣接する財あるいは印が陽干であるなら、性格的に強いとか、家庭の中での立場が強いといった事象で現われることになる。
なお、この財と印から推察する父母の影響は、父母の子どもに対する関わり方のありようにより、四柱八字での実証的判断が難しい場合が発生することがある。
例えば、父親が子どもをただただかわいがり、甘やかすだけで、厳しいことは一切口にすることなく子どもに接するような人であった場合、四柱八字にはそうした父親の影響は財として表示されないことになってしまうのである。
このような父親のもとに育った場合、当の本人は「父親に可愛がってもらった」「父親の影響が大きかった」と感じていても、父親を示すはずの財の作用から父親の影響を推察することができないことになるのである。そうしたやさし過ぎる父親は、多くの場合、四柱八字では印として示されることになってしまう。つまり、家庭に二人母親がいるような状態として、四柱八字に示されてしまうのである。ただ、こうした状況はそれほど多く見ることができるものではない。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より
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