次は、作品の量と質からして、20世紀に最も活躍した日本を代表する漫画家と言える手塚治虫氏の命と運である。1928年11月3日生まれで、出生時間は「一億人の手塚治虫」(JICC出版局)による。同書には午前1時頃の生まれとしか記されてなかったが、事象から丑刻と推定した。
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日干丁火で戌月土旺に生まれ、月干に印も比劫もなく、食傷が旺じているので、旺は逆転し木旺として見ることになる。
旺の逆転により木旺となり、日干丁火は相令の進気となる。日の蔵干に比劫の扶けがあるが、時干に辛金があり、時の蔵干の己土から生じられ、印の助けもないため、日干はやや弱と見ることになる。
年干に戊土があり、月干の壬水を剋しているため、日干は壬水に剋されずに済んでいる。年干の戊土は日干丁火にとって望ましい干ではないが、結果的に弱い日千を助けているので、このような場合も、生家の環境は良好であったと見ることになる。
また、日の蔵干に比劫があるため、時の蔵干の食傷の己土は、日干に隣接しているのと同じ事象を発生することになる。
日干に食傷が隣接するのは、創作活動が活発であることになり、かつ、時干に財の辛金が隣接するので、マスメディアで活躍することができる職業的な適性が示されていることになる。日干は大変弱いが、12歳以降、大運の干が良好になり、才能・能力を発揮し始めたと言える。ただ、日干より印が強いため仕事はハードを極めることになり、身を削るようにして働かれることになった。またこのような命と運であるがため、漫画家という多忙な職種に進まれたとも言える。そして、大連戊辰に巡り、弱い日干は土に洩らさなければならず、土の部位である胃ガンで亡くなられることになったのである(60歳己巳年に死去。)
ここでダリと手塚治虫氏を採り上げたのは、芸術家や漫画家のような分野で成功した人の四柱八字を見ると、日干に隣接した位置に、必ず食傷があることを示すためである。日干に食楊が隣接することは、芸術家、クリエーターとして成功するための必要条件と言えるのである。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より
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