また、四柱推命で知ることができる具体的事象の概要を箇条書きにすると、次のようになる。まずその人自身に関することとして、

① 広義な意味における気質と、 それに伴う能力的な特性
② 気質に由来する性格面と行動パターンと、 その経年変化のようす
③ 健康状態とその経年変化
④ 容姿の特徴( 身長・容姿・体重等 )とその経年変化のようす
⑤ 過保設か放任かといった育てられ方のようす
⑥ 食べ物の嗜好
⑦ 生命に関わるような病気に注意を要する時期
⑧ 成長期の生育環境
⑨ 事故、怪我等々の危険性がある時期

といったことをあげることができる。そして、これらの視点を複合的に組み合わせながら、両親との関わり、兄弟姉妹の構成とか、婚期、職業の適性、収入の変化のようすを推察することになる。
経済的な好不況は四柱推命の関することではないが、たとえ景気が悪くても、うまく立ち回ることができるとか、あるいは、景気の悪さとともに自身の経済状況も悪化させてしまう、といったことは推察可能な事象の範躊に入る。時には、出生時の体重が2500グラムを切っていて補育器に入る必要があったのではないかとか、難産の傾向があったのではな いかといったことがわかることもある。
しかし、本人にまったく過失のな いような偶発的な天災・事件・事故で負傷したり、最悪の場合、死に至ったりすることがあるが、こうした点も四柱推命の関するところではない。
四柱推命は理論的に構成されているので、このような事象を説明できるものとして考えるなら、こじつけに陥って、理論的に破綻してしまうことになる。四柱推命によって解明可能な事象と、そうでないものの事象の見極めには注意が必要である。
また、四柱推命は統計に基づいて未来を予知する方法である、と考えている人が割と多くいるようであるが、もし四柱推命が統計なら、同じ陰陽五行論をもとにしている漢方も統計ということになってしまう。もちろん本来の四柱推命には確率とか統計的な要素は微塵もない。
四柱推命はその始まりにおいては経験から得た知識の寄せ集めであったかも知れない。しかし、ゲーテがその著『色彩論』で、「経験は学問として統括され、さらに高度な法則を持つものへと包摂されていく場合がある (「自然と象徴」高橋義人編訳・前田富士男訳・冨山房百科文庫)と述べているが、四柱推命はまさにそうした過程を経て発展してきたのである。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より