合には、干同士の合と、支同士の合の2種類があるとされている。
干の合とは、剋する方が陽干で剋される方が陰干の場合に言われる干と干の関係である。例えば、陽干の甲木と陰干の己土は干合の関係にあると考えられている。陰陽が異なることから、陽干同士、陰干同士の剋とは異なる作用があると考えられていたのである。それは、陽は男、陰は女という考え方が根底にあるため、男女の関係にたとえて説明されることが多い。
「易経」に十干は見ることはできないが、干合の原理ではないかと思われる数理を元にした記述を見ることができる。「黄帝内経」中には、甲木と己土は合となり土に屈し、乙木と庚金は合となり金に属し、丙火と辛金は合となり水に属し、丁火と壬水は合となり木に属し、戊土と癸水は合となり火に属すると記されており、干合についての定義が明確になされている。しかし、古来より四柱推命において伝えられているものとは内容に少々異なる点がある。
また四柱推命においては、合が成立するなら、ある条件下において、干自体が変化するとして、さまざまな論が展開されている。例えば、丙火と辛金の合は水に属するから、合が成立すると、丙火は壬水に、辛金は癸水に変化するとしているのである。そして、干合を元にして化気格というものを創り出しているが、あまりにも構成が複雑なため、つじつまが合わなくなって話が行き詰ると、「化気格は難解である」と音を上げているという代物なのである。四柱推命の堂典と言われている「滴天髄」でさえ、
化得演者只論化。化神還有幾般話。
《化が真を得るなら、ただ化を論じる。(しかし)化神にはまだなお、いくつかの解決すべき問題がある。》
とお茶を濁して、これ以上のことは何も言われていないありさまなのである。
また、古書中に、甲木と己土の合は「中正の合」であるとか、丁火と壬水の合は「淫訛(いんか)の合」とかいっているものを見ることができる。後者の「淫訛の合」とは、男性は酒色に溺れ、女性は男性関係がだらしないという意味である。日本の四柱推命では、こうしたも のを単純でわかりやすく、都合が好いところがあると感じたのか、伝家の宝刀のように使っている人もあるようである。四柱八字の中に丁火と壬水の2干が並んでいるだけで、人格さえ否定するような具体的事象を断定する自称四柱推命家は、世に害悪を垂れ流すだけと言ってもいいだろう。
私の実証的経験から言えば、干の合と言われているものは陰干と陽干の剋でしかなく、ましてや合によって干が他の干に変化するなどと考えることはまったく無理があると考える。甲木と己土の合は、陽干の甲木が陰干の己土を剋す関係であって、合などと いう別称はまったく必要ないのである。
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