坤(こん)は地。それは潜在意識である。

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坤は乾に対応するもので、地をあらわし、女性(母)をあらわし、潜在意識をあらわしています。乾(けん)が陽爻だけで成り立っていたのと対照的に、坤(こん)は陰爻だけでできている。地は天の影響を受けて活動するように、この卦は需要をあらわしています。

また従順であり、隷属でありと一見して弱いイメージがありますが、決してそうではありません。これは、あくまでも乾(けん)を受けてのことで、この乾(けん)と坤(こん)の関係についてマーフィ博士は次のように言っています。「たとえば、あなたが持っている考え、抱負、欲望といったものは、あなたの感情にしみとおり、真実だと感じられるときには、潜在意識の中に沈んで、やがて表面に出てくる。それは、大地にまかれたリンゴの種が、地中で栄養分を吸って変化し、やがて身を結ぶ時と同じである」すなわち顕在意識があって、そこで経験され思考されたものが、坤(こん)にまかれ、それが機会を見て出てくるということで、両者はコインの裏表のような関係にあるといえます。

女性的原理をもって潜在意識としたのは、女性の妊娠、出産の神秘に符合するものです。実際に、内部において育てるのは女性である。われわれの能力も欲望や願望によって受精し、内部に育てられてやがて表面にあらわれてくる。この関係をマーフィー博士は女性的原理とみたのです。

地は万物を生み育てる豊かなる土壌である。天のめぐみを得て、たゆまぬ努力と自然が作ったメカニズムの上に創造の花を咲かせる。これが坤(こん)の意味です。潜在意識の法則は、「良いことを思えば良いことがおき、悪いことを思えば悪いことがおきる」という単純化された言葉に要約できますが、易の体系が陰陽二つの状態から派生しているのとこれは同じで、潜在意識の理論は易ときわめて近いところにあるといってよいでしょう

 

「マーフィの易占い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)