◇最大の難問に答える

易は潜在意識に活力を与えるきわめて有効な方法です。あなたが何かに迷ったり、判断に苦しんだりしたとき、あなたは易に頼ることができます。易の簡単な方法をおぼえて自分でやってみるといいでしよう。

易のやり方は後程紹介しますが、その方法はむずかしくありません。3枚のコインがあれば、誰にもできます。むしろ、むずかしいのはその先です。つまり出た卦をどう解釈し、それを自分のためにどう利用するかが問題なのです。

易に否定的な考えは、この卦の活用の方法を理解していなかったり、誤解している場合におきてきます。たとえば「二人の人間に占ってもらったとしたらどうなるか。

同じ卦が出るとはかぎらないではないか。これをどう解釈すればいいのか」という人がいます。

あなたが自分の問題を人に相談するとき、AとBの二人の相談者がまったく同じ回答をすると思いますか。ちがう答えをされたとき、それをもっていい加減な回答だといいますか。こういう疑問が出る人は、易を何か固定した数字の換算表のように思っている人です。

野球の打率には換算表があります。何打席に何本のヒットを打てば、打率は何割何分何厘であるとすぐわかります。これは誰が見ても同じ答が出る。しかし、易はこういった誰にでも同じ答の出る換算表ではない。人の顔が一人として同じでないように、その人の未来はその人以外のものではないのです。占う人と占われる人との関係においてもこれは同じです。

だから同じ卦が出るとか出ないとかを論じることは、ナンセンスなのです。

そういう疑問を抱く人は、二人の人に占ってもらい、もし同じ卦が出たらそれを全面的に信じるのでしょうか。 その確率もないわけではありません。しかし、その人はいうでしょう。

「それは偶然だ。もう一度やってみたらそうはならない」つまり信じたくないのであなたがAに占ってもらうことは、その時のあなたとAとの関係において一回性の出来事なのです。

いかなる現象も二度と繰り返しはしない。同じことがおきたとしても、すでにそこ時の流れがある。同じと思うのは、記憶のファイルをくったときに過去と現在を対照して「記録」を語っているにすぎません。それはこれからおきる運命とは何の関わりもなとなのです。

それから易の解釈の問題があります。ある卦が出たとします。「でも解釈は人によって違う。ある人はこうせよといい、別の人はいやこうするべきだという。そこには普遍性がない。そんなものは信じられない」――と。

あなたは自分の運命を他人の誰もが見通せる普遍性があると思いますか。かりに、たが結婚問題で悩んでいたとします。そのとき、あなたのこれからの運命を誰もまちがいなく言い当てることができると思いますか。

そんなことができるはずがありません。それができるのは、あなたの潜在意識だけです。あなたの潜在意識はあなただけのものであり、あなたとはあなたの潜在意識そのものなのです。

あなたの将来、あなたのこれからの運命はあなたの心の中にあるのです。易はそれをのぞかせてくれます。のぞいたあなたが、これを見て安心すればそのままにしておくでしょう。もしそれが不本意であれば、そうならないようにすればいい。易が見せてくれる未来は、あなた自身が受け入れることもできれば、拒否することもできるのです。

あなたは自分の未来を易を通じて見ることができる。そして自分のいまの生き方を再点検することができる。そして、あなたはこれからどう考え、どう行動することが自分にとって最良であるかを知ることができます。

それだけのことを知っていれば、あなたは人生において失敗することはありません。あなたはあなたが思い描いた通りの人生を獲得することができるのです。あなたが易の効用を信じ、潜在意識の力を信じるならば、この世に不可能なことなど―つもないのです

 

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)