◇易はメンタルシグナルの増幅回路

易に批判的な人は、似たような他の方法にも批判的にならざるを得ません。そういう人は自分の判断にも批判的になるべきです。「易は特定の指図ほ与えない。それはあなたについて語るだけである。それを知って解釈することによって、あなたは次に打つ手を決定 するのである」とマーフィー博士はいいます。

これは易を考える上で非常に大切な示唆です。易のもたらすメッセージは、きわめて抽象的で、ときにそれはほとんど現実的判断や解釈を拒んでいるように見えることがあります。だが、易のもつ普遍性はまさにこの抽象性にあるといっていいのです。

たとえば、易は行方不明の女性がロンドンの何丁目何番地にいるとは告げません。あなたが乗る飛行機が墜落するとも回答しません。にもかかわらず、そのような判断をするのはなぜか。それはその人自身の「内なる声」を察知するからなのです。それは潜在意識の回答といっていいものです。

試みに易者のところへ行ってある事柄について判断を仰いだとします。その回答を受けとめるのは、あなた自身です。「あなたの望みはかなえられる」といわれたとしたら、あなたは喜ぶにちがいありません。そしてそれを積極的に評価するでしょう。また、不吉なメッセージをもらったようなとき、それによって不安にかられるかも知れないし、「それはまちがいだ」と否定するかも知れません。

いずれにしてもそれを解釈しているのはあなた自身であり、この当事者による解釈があるからこそ、易というものが成り立つ。その意味で易は「キーワード」を提供するだけのものといっていいのです。

「自分の運命は自らの掌中にある。宇宙の法則に合った思考をすれば、あなたの思考は宇宙と調和し、あなたの望みはことごとくかなえられる(」マーフィー博士)という潜在意識の法則に従えば、易のメッセージはあなたの未来予知の感覚受容器にインプットするソフトウエアといってよいでしょう。

ここで重要なのは、人は誰でも自分がより良く生きるための高性能な惑覚受容器を持っていて、それはあなたの内部から判断や行動の指針を語りかけようとしていることです。

この内部からの声をメンタルシグナル(心の合図、信号)と呼びますが、これをはっきりと顕在意識で受信するための増幅回路の役割を易占いは果たしてくれるのです。

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)