キーワード:山、静止した状態
艮其背。不獲其身。行其庭。不見其人。无咎。
(そのはいにとどまりてそのみをえず。そのていにゆきてそのひとをみず。とがなし。)
「艮」は止まること。「人間の体の中で動かない背中に止まる。そうすれば、動くところに惑わされない。庭に行っても人をきょろきょろ 見ない。問題はない」。この卦は山が二つ重なった姿です。山は不動 の象徴です。艮為山の時は、行く手は山また山の時です。こうした時は悟りを開いて無欲、無関心にして、心静かに「動かざること山の如し」をモットーとする ことです。あなたの守るべき立場をしっかりと守ること。
〔大意〕艮(ごん)は「とどまって動かない」の意味。
この卦は動に対する静を考慮するべきことを暗示しています。どんなに活動家でも一日に一回は眠る。眠ることは絶対に欠かせません。
それは消極的ではなく、より甜極的に行動するためにも必要なことです。
いまは静かにしていることが最良である。「動かざること山のごとし」がよいということです。なぜですか。マーフィー博士はこういいます。「あなたの心を静めることは、あなた自身の理性や感情がいま自分の内に向かうことが必要だからです。そうすることであなたにはあなた自身が見えてくる。そしてあなたは静かな心で自分に期待しなければいけません。この種の期待はあらゆる行動の中でもっとも効果のある行動なのです」
ここで期待というのは、想像力を発揮するということです。あなたは心静かに自分の未来、好ましい未来を想像するべきである。しかもその想像は可能な限り細密でなければならない。真に細部にわたって想像ができたとき、 それは現実のも のとなっている。これほ潜在意識の働きがそうさせるのです。
実際に身体を動かす行動も大切だが、想像もそれ以上に重要である。なぜなら想像することは、潜在意識に自分の願望の種をまき、水や肥料をやり、丹精込めて育てることにほかならないからです。
「想像力は知識よりも大切である」といったのは今世紀一の頭脳といわれたアインシュタインの言葉です。また、英雄ナポレオンは「想像力は世界を征す」といいました。現代は創造力は大切だといわれるが、想像力は軽視されがちです。「頭の中の幻影にすぎない」と思われているからです。これがいかに大切かは、あなたがじっと静止して考えればきっとわかります。
- 初6:静かにしていなさい。それでもあなたは目的地に進んでいます。
艮其趾。无咎。利永貞。
(そのあしにとどまる。とがなし。えいていによろし。)
「足を止め、動かない。問題はない。いつまでも貞正を保てば良い」。現状維持に徹する時です。転職などはもってのほかです。
- 二6:正義に反するものに加わるのを拒否しなさい。
艮其腓。不拯其隋。其心不快。
(そのこむらにとどまる。そのしたがうをすくわず。そのこころこころよからず。)
「腓」はふくらはぎのこと。「ふくらはぎを止める。上にある者が従ってくる者を助けてくれない。不愉快である」。会社では上司と心が 合わず、意見が通じず、思うようにならない時です。我慢するしかないでしょう。
- 三9:無理はさけなさい。いまは休息のときです。
艮其限。列其夤。厲薰心。
(そのげんにとどまる。そのいんをさく。あやうくしてこころをくんす。)
「限」は「腰」、「夤」は腰骨、「薰」は煙でいぶすこと。「腰を止める。そうしたら腰骨が裂ける。危うく煙でいぶされたように心が痛 む」。会社の中では上下の板ばさみになって、引き裂かれるような思いをするなど、労多くして功少なく、中途で挫折しやすい時です。あまりに柔軟性がないの も考えもの。
◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。
- 四6:瞑想しなさい。あなたは自分を知ることができます。
艮其身。无咎。
(そのみにとどまる。とがなし。)
「自分自身が動かない。問題はない」。会社では部長の位です。上には社長が控えていますので、自分の分を守り、時の来るのを待つこと です。
- 五6:言葉に気をつけなさい。言葉は考えが外にあらわれたものだからです。
艮其輔。言有序。悔亡。
(そのほにとどまる。ことじょあり。くいほろぶ。)
「輔」は口のまわり。「口を止める。すなわち言葉を慎む。意見がある時は順序正しく述べる。悔いはなくなる」。「沈黙は金」の時で す。風格のある人は言葉を選ぶもの。
- 上9:まずあなたとあなたの家族と友人たちの平安を祈願しなさい 。
敦艮。吉。
(とどまるにあつし。きち。)
「一番高い山に心敦く止まる。吉」。止まるところに見事に止まり終えて、今や見識、財力ともに山の如しの時です。仕上げは入念に。
◎良い時です。
「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)及び以下を参照しています。