キーワード 抑制 渋滞に巻き込まれたような時
小畜。亨。密雲不雨。自我西郊。
(しょうちくはとおる。みつうんあめふらず。わがせいこうよりす。)
「小畜」は少しとどめること。「風天小畜の時、通じる。厚い雲が立ちこめてきたが、雨はまだ降ってこない。やがて、西のほうから降り だすことだろう」。風天小畜の時は周囲の状況が悪く、うまくいきそうでいかず、進めそうで進めない。すなわち目的地の手前で車の渋滞に遭ったような時で す。このような時は、何事も時期を得ていないわけですから、いたずらに前進しないことです。しばらくは学問などに打ち込み、コツコツと実力を蓄えて機が熟 する日を待つことです。
〔大意〕畜(ちく)はとどむの意で、障害をあらわす。ただし小畜なので、その障害は大きなものではない。したがって、確信をもって忍耐努力すれば願望は成就することになります。
障害はあなたの目の前に現われてきます 障害は取り除かねばなりません。しかし、真の障害物は何かといえば、それは目に見えないもの、それもあなたの心の中にひそんでいる悪い習慣です。それが克服できれば、他のいかなる障害も、克服できないものは一つもありません。障害や困難はどんな人にもやってきますが、それは「絶対に解決できないことはない」とマーフィー博士はいいます。なぜですか。それはいかなる困難も障害も、その人に見合った(解決可能なもの)かたちでしかやってこないからです。
ヒラ社員に社長の悩みはないし、政治家の悩みをそうでない人間が持つことはない。金持は税金の心配をしているが、庶民はそんな心配はしない。親は子供の心配をするが、子供は子供の心配をしない。このように、障害も困難もすべてその人の境遇において立ち現われる。だから解決できないということは絶対にないのです。あるのは「とても無理だ」というその人のあきらめの気持だけです。
さて、この卦では困難や障害は避けられないが、それは大きなものではなく、やがてはかなえられるとしています。「密雲あれど雨降らず」ひと雨くるかと思って準備をしていたら雨雲はたれこめたが、結局、降りはしなかった。
本当に降ると思って外出をあきらめた人は.バカを見る。あせらず、あわてず、あきらめず、忍耐と努力が必要なのはこういうときです。何か計画を実行しているようなとき、まくいきそうなのに、小さな障害が出てなかなか先に進めない。こういうときはイライラしたりすることなく、どっしりと構えることです。
- 初9:すぐに歩むものは、良い物に拒まれることはない。
復自道。何其咎。吉。
(かえるみちよりす。なんぞそれとがあらん。きち。)
「途中で引き返す。何の問題があろうか。吉」。手を出しかけてハッと我に返る。風天小畜の時に適った正しい選択です。平常心を取り戻 して、現状維持といったところ。
- 二9:どんな場合でも物事を強いようとしてはならない。
牽復吉。
(ひかれてかえるきち。)
「友人に引かれて帰る。吉」。持つべきものは良き友人です。人の意見に素直に従いましょう。
◎良い時です。
- 三9:感情を静め、あなたの内なる声に耳を傾けない。
輿説輹。夫妻反目。
(よふくをとく。ふさいめをそばむ。)
「輿」は車、「輹」は車軸のこと。「車の車軸が外れて車が壊れてしまい進めない。夫婦でケンカするようなものだ」。内部分裂がもと で、大切なことが台無しになる時です。夫唱婦随の精神を見習って、強引さ性急さを控えること。
◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。
- 四6:他の者に支配されてはいけない。
有孚。血去愓出。无咎。
(まことあり。ちさりおそれいず。とがなし。)
「愓出」は危険が去る意味。「誠がある。血や膿が出てしまって恐れも去った。問題はない」。誠意を尽くせば、難問が解決しうる時で す。慌てないこと。
- 五9:志の堅固な者は守られる。
有孚。攣如。富以其隣。
(まことあり。れんじょ。とみそのとなりをもってす。)
「攣如」は手を取り合うこと。「誠があって、手を取り合うようにしっかりと心を合わせて相親しむ。富も隣人と分け合う」。成功は皆で 喜ぶもの、共存共栄の時です。
◎大変良い時です。
- 上9:すべてには時がある。心を安らかにしてそっとしておくことである
既雨既処。尚徳載。。婦貞厲。月幾望。君子征凶。
(すでにあめふりすでにとどまる。とくをたっとびのす。ふはただしけれどもあやうし。つきぼうにちかし。くんしゆけばきょう。)
「望」は満月のこと。「ついに雨が降って、その恵が行き渡るように、徳も、車に戴せるぐらいに盛大になった。このような時、本来,陰 であるべき婦人が貞正にしていても危うい。月が満月に近づいて輝きを増し、一層歯止めが効かなくなった。こうした時には、君子であっても進むことは 凶」。目的をすでに達成したのに、まだ不満足で進もうとしている時です。これ以上の欲は出さずに、有終の美を飾りましょう。
「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)及び以下を参照しています。
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