三碧生まれの人は、 ほかの星生まれの人にくらべて、金銭運は比較的弱いのです。

これは三碧という星の特殊性によるものでしょう。大半の人は、ほかに人生の目標を見いだし、その目標に熱情を打ちこむために、金銭や物質に対する執着がどうしてもうすくなってくるのでしょう。

ですから、金銭・物質運についても、この星の人は、仕事一途に打ちこんで、その結果得られるとうぜんの報酬にたよったほうがいいということになります。

そうすれば、生活には不自由することがなく、まじめに働いていれば、余生も安楽に送れますが、ちょっと道をあやまると、たいへんなことになります。

私の知合いで三碧生まれの青年がいました。雑誌の編集をしており、頭は人一倍切れますし、人づきあいもけっして悪くはないのですが、独立心が強すぎて、勤め先の社長と喧嘩して、会社をとび出したのがまちがいのもとでした。まず、彼は結婚すると同時に、本命殺の方向に引っ越したのです。それまで住んでいた家がとりこわしになるというので、引っ越し自体はやむをえなかったわけですが、もっと良い方角に家はなかったかーと私がだめをおしても、いままで捜しまわったかぎり、このアバートが最善なのだと言って、聞いてくれません。

三碧生まれの人間には、こういう頑固な一徹さありますし、私としもそれ以上は何も言えなかったのですが、そのうちに彼は自分が企画を立てて、ある会社をつくり、自分が専務に就任しました。出版とはなんの関係もない家庭用品の製造販売の会社なのですが、本社が彼の新しい住居から、その年の暗剣殺の方位にあるビルの一室にきまったと聞いただけで、私はこれはますますいけないなーと思いました。

さらに、社長にかつぎだしてきた人の住居から見ても、本社の方角は五黄殺の凶方に当たっていたのです。

その会社はその後一年ちょっとで倒産しました。大理石の浴室と、本式の外国風の暖炉を持った社長の邸宅も、競売にかかって処分されたというのですから、個人的にこの事業に注ぎこんでいた金額も大きく、その被害をもろにうけたのでしょう。

専務だった彼は、東京を逃げ出し、金融プローカーみたいな仕事をしているということですが、彼の性格はこういうことには向いていないのです。しかも、最近、ほかから聞いた話では、その逃げ出した先の住所の方向が、また暗剣殺に当たっていたのです。私はこうして三度も連続して凶方があらわれたことに、気持ちが暗くなってしまいました。

こういうふうに、三碧生まれの人には、純粋の利潤追求はむずかしいのです。ですから、ここに説明する吉方も、自分の仕事を通じて金運をつかむ方法というぐあいに解釈してください。そういう意味では、四緑の星のいる方角に行動をつづけるのがいちばん効きめがあります。こ

 

ちらの方位をうまく使えば、徐々に収入がふえていきます。仕事の発展の度合いにくらべて、収入の増加は遅いのですが、これは生まれ星の性格ですから、がまんするしかしかたがありません。

九紫の星のいる方角をうまく使えば、長い時間の後には たいへんな金運にめぐまれるチャンスも出てきます。ただ、これは目先のプラスにはなりません。たとえば何かの拍子に、かなりまとまった金がはいったとき、この吉方に土地でも買っておけば、あとではかなりの値上がりがのぞめるだろうというようなことです。

一白の星のいる方角も、直接の金運というものに関しては、それほど目に見えたプラスがありません。ただ仕事の勢いがついてきますから、それと同時に、たとえ間接的にでも、しぜんに金が身についてくるということはまちがいありません。

 

◎出典 「改定方位学入門」高木彬光著 カッパブックス及びブログ作者の収集データーによる◎