一般的な健康問題を考える楊合は、まえに述べた基本的吉方・凶方の考えをそのまま適用していただけばけっこうです。この吉方のほうに向かってうまく行動すると、目に見えて健康がよくなります。
かんたんにできるのは、毎日散歩することですが、医者にかかるときにも、できるだけ吉方を選んでください。最近は医者や糾院の技術のちがいはあまりないようですが、それでも急性の心臓病などでは、病院によって生死にかかわることもあるそうです。
体力全体を増進させるには、九紫の星のいる方位が最適です。あとの三つの方位は、九紫にはちょっと劣りますが、もちろん効果はありますし、順位はちょっとつけられません。
九紫の方位は、とくに中年以上の人にむいているのです。心臓・血圧などのいわゆる老人病は、毎日毎日の摂生によってたいへんちがってくるものですが、毎日十分ぐらいずつ、この方向に向かって散歩するだけでも、半年もたてば効果ははっきりあらわれてくるでしょう。また、中年以上の人は、この方位の医者と仲よくなっておいて、一年に一度でも、精密検査をなさることをおすすめします。検査にはできるだけその病院が吉方にあたる日を選んでください。大きな病院あたりになると、医者は輪番制ですし、その日なら良い先生にふつかって、ほかの人なら気がつかなかったかもしれない悪四の病気の初期症状に拭がつき、適切な処置をしてもらえるというようなこともないとは言えません。
このことについては、 恐ろしいような例があります。
私の友人にH氏という二黒生まれの人がおりますが、私とはたいへん気が合って、毎辿一度はかならずうちへ遊びにきていました。もう七年まえのことですが、当時私たちは占いのことをいっしょうけんめい話しあっていました。方位の良い医者と仲よくしたほうがいぃというような話題も出たはずです。
ところが、あるときH氏は、なにかの会合に出ている最中に、急性膵臓炎の発作を起こして倒れたのです。もちろん、こういう病名はあとでわかったのですが、この病気は発病後二十四時間が勝負で、そのあいだに水を一滴でも飲んだらまず助からないというのです。
もちろんすぐに119番に電話がかけられ、 救急車が呼ばれました。そのときご本人は完全に意識不明になっていたのですが、ちょうどその会に出席していた医者が、H氏と方位の関 係の良い病院を知っていたというのです。
近くの救急病院は、あとで考えると、暗剣殺に当たっていたらしいのですが、この医者は、なんとかH氏のかかりつけの病院へはこんでくれないかとたのんだのです。そして、自分で病院へ電話で連絡をとったのだそうです。H氏と仲のよかったその病院の医者は、ちょうどそのとき帰り支度をしていたそうですが、ほかならぬHさんのことなら—と、もう一度白衣に着替え、血液検査の準備をして待っていたそうです。
奥さんもその話を聞いて、あわてて病院へ駆けつけました。そして、H氏が、「水!水!」と無意識にうめくのを聞いて、コップの水を差し出したのです。
問一髪、血液検査の結果をたしかめた医者がこの病室へとびこんで来ました。そして、奥さんの手からコップをたたき落とし ました。白衣もぬれましたが、額も冷や汗でぐっしょりだったそうです。
H氏はこうして命をとりもどしました。
この病院は、氏が最初に行ったときは吉方に当たり、その日もちょうど九紫の吉方に当たっていたのです。方位学が迷信だ―――というような人には私はよくこの話をして聞かせます。
さて、つぎに六白の星のいる方角ですが、この方角に向かって行動すると、呼吸器が強くなります。この方位はとくに子どもによいのですから、たとえば幼稚園を選ふというようなときにはできるならこの吉方を使ってください。
このときは、長期にわたる通学ですから、年の九星盤を見たほうがいいでしょう。
また、子どもがなくて困っているような場合は、この吉方に向かって行動すると、まもなく子宝にめぐまれます。
また、生殖器系統の病気に悩んでいる人は、この吉方の医者にかかれば、最善の結果が得られます。くりかえすまでもないことですが、こういうときには、最初相談に行く日の九星盤を使ってください。消化器が悪かったり、肝脳が悪かったりという症状では、八白の星のいる方角が最善です。また過労で疲れているような場合には、毎朝こちらの方位に散歩するとか、休日にゆっくりこの方位に遊びに出かけたりすると、たいへんな効きめがあります。
七赤の星のいる方位は、やはり呼吸器に効きめがあります。また脊年期の男女には、この方位の医者が、良い相談相手になってくれるでしょう。若さにまかせて乱暴をした結果の病気や怪我などには、とくにこの吉方が力を発揮するのです。若い人のノイローゼなら、この方向へ遊びに行く癖をつければ、たちまち回復するでしょう。
◎出典 「改定方位学入門」高木彬光著 カッパブックス及びブログ作者の収集データーによる◎