高齢化に従って、耳が不自由になる方がいらっしゃいます。人間の体は、本当にびっくりするくらい精密な機械で、人の耳は、雑音の中から、必要な音だけを「増幅」して、聞き出すことができますが、「機械」では、そんな芸当はできません。だから、補聴器をつければ、良いと考えるのは間違いです。試しに、ご自身で、補聴器をお使いになってみれば、その酷さは、一度使えば理解できると思います。
かといって、コミュニケーションをとることができない恐ろしさもまた、強烈です。これを考えると、つけないよりまし、ということになりますが、使用する条件をしっかりと周囲が考えることが重要です。食事時や、家族との会話の時間等で、コミュニケーションがメインの時は、補聴器をつけたほうがより良いかもしれません。また、補聴器だけでなく、字が読めて、理解できる方なら、筆記用具を使って、紙にポイントを記入するだけでも、だいぶ違うと思います。
人の声が聞こえにくいため、ヘルパーさん同士の何気ない会話も、被害妄想となって、自分の悪口を言われているのではないか、とかコミュニケーションを良くしようと、逆に大声で話しかけたりすると、びっくりしたり、叱られているような心理的な負荷がかかります。

補聴器をご自身で管理できれば、それが一番ですが、それでも、耳に入れるタイプはなくしやすく、できれば複数の方が管理できる体制の中で使うのが良いと思います。
また、空気電池を採用している場合があります。空気電池は、酸素による酸化の時に電気を生み出すタイプで、本体の電源を切っても、空気に触れているだけで、消耗していきますので、ボタン電池を取り出して、テープなどで小さな穴を防げば、電池が長持ちします。