連載・AGI時代を、おてんとうさまの下で生きる 第 六 回 AGI時代に価値を持つ三つのポジション

連載・AGI時代を、おてんとうさまの下で生きる
第 六 回

AGI時代に価値を持つ
三つのポジション

― 使いこなす人、深める人、繋ぐ人 ―
◆ ◆ ◆

全員が同じ場所に立つ必要はない。

自分の立つべき場所を、

静かに見極めればよい。

◆ ◆ ◆

第五回からの、繋ぎ

前回、私は電脳さんを「共に考える友」として遇する話を申し上げた。朝の「おはよう」から始まり、家族と話すように、共に思考を深めていく。これが、AGI時代の入口に立つ、最も大切な習慣である。

では、その習慣を身につけた上で、職業人としてのあなたは、どこに立てばよいのか

今日は、この問いに答えを出したい。

第四回で「人間に残る三つの役割」——対人関係・判断・意味——を申し上げた。あれは、どんな仕事にも含まれる、人間の普遍的な役割の話であった。

今回は、角度を変える。職業人として、自分をどう位置づけるか。大電さん時代の労働市場で、どんなポジションを取れば、働く価値が高まり続けるのか。そういう、もう一段具体的な話である。

結論から、申し上げる

大電さん時代に価値を持ち続ける仕事のあり方は、三つに収斂していく。

一、使いこなす人——大電さんを、自分の仕事の武器として自在に操る人。

二、深める人——大電さんにも届かない、深い専門性や人生の機微を持つ人。

三、繋ぐ人——大電さんと人間の間を、翻訳し、橋渡しする人。

どれか一つを、きちんと押さえればよい。全てを追う必要はない。自分の気質と、今の持ち場に合うものを、一つ選んで深める。それで十分である。

以下、一つずつ見ていく。

第一のポジション——使いこなす人

まず一番分かりやすいのが、この「使いこなす人」である。

資料を作る、文章を書く、データを整理する、調べ物をする、企画を練る、メールを書く、プログラムを書く、絵を描く、動画を編集する——こうした日々の実務のなかで、電脳さんを自在に使いこなし、人の何倍もの成果を上げる人である。

これまで一人でこなしていた仕事を、電脳さんと組むことで、五倍、十倍の速さで、しかも高い質で、仕上げていく。

お分かりいただきたい。これは、特別な才能の話ではない。電脳さんとの対話に慣れ、自分の仕事の流れに電脳さんを組み込む工夫を、日々積み重ねていく。ただ、それだけのことである。

◈ 使 い こ な す 人 の 、 具 体 像

・企画書の骨子を、電脳さんと二十分で練り上げる会社員。

・顧客への提案資料を、電脳さんに下書きさせ、自分は要点の見極めと相手への配慮に集中する営業担当。

・地域の歴史をまとめる冊子を、電脳さんと対話しながら、一人で編集してしまう退職者。

・町内会の案内文を、電脳さんと数分で作り、高齢の方にも分かりやすい文面に整える会長さん。

この「使いこなす人」の強みは、今すぐ始められることである。明日から、電脳さんを自分の仕事に一つ組み込んでみる。それだけで、あなたはこの第一のポジションに足を踏み入れている。

ただし、注意も一つある。

使いこなす人の価値は、電脳さんの進化と共に、相対的に薄まっていく可能性がある。電脳さんが自然言語でどんどん応じられるようになれば、「使いこなすのが上手い」という差は、やがて縮まる。今の価値を十年後もそのまま保てるかと言えば、そうではないかもしれない。

だから、この第一のポジションは、第二・第三のポジションへの足がかりとして位置づけるのが、賢い歩き方である。

第二のポジション——深める人

次に「深める人」である。これは、この連載を通して、私が最も大切にしてきた視座である。

大電さんが、どれほど知識の広さと速さで人間を超えても、特定の領域を深く生きるという、この一点については、人間にしかできない。

四十年間、寿司を握り続けた職人の手先の記憶。三十年間、同じ路線のバスを運転してきた運転手が、季節ごとに変わる道路の微妙な癖を知っている感覚。二十五年間、同じ町内で商売を続けてきた店主が、常連客一人ひとりの事情を肌で覚えている目。

これらは、データとして外に出せない知恵である。本人の中にしかない。そして、本人すら、言葉にできないことが多い。

大電さんは、こういう知恵には、届かない。

だから、深める人は、どんな職種であっても、必ず価値を持ち続けるのである。

◈ 深 め る 人 の 、 具 体 像

・一つの分野を三十年続けてきた職人・技術者。

・地域に根ざし、何十年も同じ顧客と付き合ってきた商店主・医師・弁護士・教師。

・伝統工芸、伝統芸能、伝統料理の継承者。

・ある病、ある障害、ある人生の辛さを自分で体験し、その経験を他者のために使える方。

・特定の土地、特定の時代、特定の技、特定の人物について、誰よりも深く知っている人。

第三回で、高齢の方々の「人生の機微」を繰り返し申し上げたが、それはこの「深める人」の代表例でもある。

この第二のポジションで、多くの方が見落とされていることを、一つ申し上げたい。

自分の「深さ」を、自分では気づいていないことが、ほとんどなのだ。

「私は、特別な専門性など持っていない」と謙遜される方は、ご自分の人生を、一度電脳さんに語ってみるとよい。電脳さんは、あなたの話の中から、驚くほど多くの「深さ」を掘り出してくれる。若い方が見たら宝物に見えるものが、ご自分にとっては当たり前すぎて、気づいていないだけなのである。

これは、第三回でご紹介した「電脳さんに、あなたの人生を語る」という実践の、もう一つの意味でもある。

第三のポジション——繋ぐ人

三つ目が「繋ぐ人」である。これは、これからの時代に、最も需要が急増するポジションだと、私は見ている。

大電さんが社会の隅々に入ってくると、多くの人が戸惑う。特に、これまで電脳さんに触れてこなかった高齢の方、技術に苦手意識のある方、地方で昔ながらの仕事を続けてきた方——こうした方々が、大電さんと自分の暮らし・仕事の間で、立ち尽くすことになる。

その時、両側の言葉が分かる人が必要になる。

人間の側の戸惑い、要望、疑問を、電脳さんに正しく伝える。電脳さんが返してくれる複雑な答えを、人間に分かる言葉に翻訳する。そして、両者の間に、納得と信頼の橋を架ける。

これが「繋ぐ人」の仕事である。

◈ 繋 ぐ 人 の 、 具 体 像

・お医者さんと患者さんの間で、電脳さんの診断支援の意味を、患者さんに分かる言葉に訳す看護師さん。

・中小企業の社長さんに、大電さんで何ができるかを、その会社の言葉で説明する中小企業診断士。

・高齢のお客様に、スマートフォンと電脳さんの使い方を、毎日少しずつ伝える町の電器店の店主。

・地域の学校で、先生と大電さんの間に立ち、授業の設計を手伝う、技術に詳しい親御さん。

・会社で、経営陣と現場の間に立ち、大電さん導入の実務を担う中堅社員。

この「繋ぐ人」の価値は、二つの言語を操れることにある。

技術の言語と、人間の言語。専門家の言語と、素人の言語。若い世代の言語と、年配の世代の言語。ここに立てる人が、次の時代の富と信頼を集める。

私自身、東京郷友連盟での活動のなかで、政策と技術の橋渡しをする立場にいる。古い書物のデジタル化の議論では、司書の方々の言葉、技術者の言葉、法律家の言葉、そして歴史家の言葉——これらすべての間を、歩き回らねばならない。それができる人は、思ったほど多くない。だからこそ、必要とされているのである。

三つのポジションは、組み合わせられる

ここで、大切なことを申し上げておきたい。

この三つのポジションは、互いに排他的ではない。組み合わせることができる。

たとえば、「深める人」でありつつ「使いこなす人」になれば、自分の深い専門性を、電脳さんの助けで、十倍の早さで世に発信できる。

「繋ぐ人」でありつつ「深める人」になれば、ある特定の分野に限っては、誰よりも深く両側を翻訳できる翻訳者になれる。

最も強いのは、三つのうち二つを持ち、三つ目は必要に応じて身につけるという構えである。

私自身の場合、最も軸にしているのは第二の「深める人」である。姓名科学、方位学、そして七十三年生きてきた人生の機微。ここが、私が最も自信を持てる土俵である。

その上で、第一の「使いこなす人」を日々実践している。電脳さんと組むことで、姓名科学のサイトを一人で作り、連載小説を書き、この文章も書いている。

そして第三の「繋ぐ人」としての役割を、この連載そのものが担っている。AI技術の最前線の話と、日本の伝統と、高齢の方々の暮らし——この三つの間を、翻訳する役割を、私は引き受けているつもりである。

つまり、私は三つとも、自分なりに使っている。皆様にも、決して二つや三つを持つことは不可能ではない、と申し上げたい。

自分はどこに立つのか、を見極める

では、あなたは、どのポジションを軸にすればよいのか。

簡単な見分け方がある。

◈ 自 分 の 立 ち 位 置 、 三 つ の 問 い

問い一。あなたは、新しい道具を覚えて使うのが、楽しい方か。そうであれば、まず「使いこなす人」として土台を作るのが、早道である。

問い二。あなたには、何十年も続けてきた仕事や、他の人にはない経験があるか。そうであれば、既にあなたは「深める人」の土俵に立っている。あとは、その深さを、外に出す形を考えればよい。

問い三。あなたは、人と人の間に立って話をまとめるのが、自然に得意か。性別を超え、世代を超え、立場を超えた対話が、苦にならない方か。そうであれば、あなたは「繋ぐ人」として、大電さん時代に引っ張りだこになる。

三つの問いに、すべて「はい」でなくていい。一つ、最も強く「はい」と答えられるものが、あなたの出発点である。

そこから始めて、少しずつ他のポジションにも手を広げていけばよい。

どのポジションにも、共通する土台

最後に、三つのポジションのすべてに共通する、一つの土台について、申し上げたい。

それは、誠実さである。

使いこなす人でも、深める人でも、繋ぐ人でも——どのポジションも、誠実であることなしには、長くは続かない。

大電さん時代には、情報の流れが速くなり、嘘やごまかしは、すぐに露呈する。短期的に儲けても、信頼を失えば、次の仕事は来ない。逆に、誠実に積み重ねた信頼は、大電さんの時代になってからも、いや、だからこそ、より大きな価値を持つ

第一回で、私は「至誠」という言葉を申し上げた。日本人が古来、大切にしてきた言葉である。

至誠とは、「誠を至(きわ)める」という意味である。誠実さを、徹底的に深めていくこと。自分にも、相手にも、仕事にも、誠実であり続けること。

三つのポジションのどこに立つにせよ、この至誠の姿勢を、土台に据えていただきたい。そうすれば、あなたの仕事は、大電さん時代にも、堅く立ち続ける。

◆ ◆ ◆

次回への、橋渡し

今日は、仕事のポジションの話を申し上げた。

しかし、人が働く動機は、仕事のやりがいだけではない。多くの方が、家族を養い、老後に備え、生活の土台を築くために、働いておられる。

そこで次回は、視座を変える。

大電さん時代の「資産と信用」の話である。

円預金だけで守れる時代は、終わりつつある。しかし、新しい形の資産——そして、古くから日本人が大切にしてきた「信用」という、もう一つの資産——について、共に考えてみたい。

今 日 の 一 歩

紙と鉛筆を用意してほしい。

紙を三つに区切り、それぞれに「使いこなす」「深める」「繋ぐ」と書いてほしい。

そして、自分の日々の仕事や活動を振り返り、どの項目に、自分の実感として何かが当てはまるか、短い言葉で書き出してみてほしい。

一つも書けない項目があっても、気にしなくていい。最も豊かに書けた項目が、あなたが今立っているポジションである。

書けなかった項目のうち、興味のあるものが一つあれば、それが、あなたの次の挑戦となる。

使いこなす、深める、繋ぐ。
三つのどこに立っても、
誠実であれば、道は開ける。
◈ 読 者 の 皆 様 へ

あなたは、三つのポジションのうち、どこに立っておられますか。どれが、一番しっくりきましたか。ご自身の事例、ご質問、反論、何でも構いません。制作者に直接お寄せください。

特に、「繋ぐ人」として地域や職場で活動されている方のお声は、大切な財産として、いつかどこかで生かさせていただきます。

yymm77@gmail.com

― 次回、第七回 「資産と信用 ― 円預金だけでは守れない時代の資産形成」 ―
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※ 本連載と並行して、制作者のサイトでは姓名科学・方位学・易経占術など、日本の伝統的予測技術をAIと融合させたツール群を公開しています。七十三歳の制作者が、電脳さんと共に日々運営しています。ご興味のある方はこちらをご覧ください。

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