私(武田邦彦)は、NHKに騙されて原子力の研究者となったのです
さて、このサステナビリティという言葉が1980年代に登場したというのがたいへん面白いところです。
実は、筆者はNHKに騙されて原子力の研究者となったのです。
1970年代、1973年と1979年に「オイルショック」がありました。原油の供給量が逼迫(ひっばく)しているという理由で価格が急騰し、世界経済が大きく混乱したという事象です。
「あと30年で石油は枯渇する」とNHKのニュースをはじめ、朝日新聞などでも盛んに報道されました。当時はNHKなどの大手メディアが嘘など言うはずがないと思っていましたから、「エネルギー研究の未来は、原子力にある」と判断したのです。
「あと30年で石油は枯渇する」という話は、1972年に発表されて当時たいへん話題になった『成長の限界(TheLimits to Growth)』という、マサチューセッツ工科大学の研究者D.H・メドウズらの研究発表がもとになっていました。ただし原典を確認してわかったのですが、メドウズは「あと30年で石油は枯渇する」
とは書いていません。彼は、あくまでも現在の状況と技術から計算したものに過ぎず、こうした、たとえば石油が枯渇するという危機を煽って新たなサービスや商品を売り出したり、テレビの視聴率や新聞の購買数を伸ばしたりすることを「恐怖ビジネス」と言います。
そして、石油をはじめとする化石燃料の枯渇は嘘だとわかってしまった結果として、枯渇の恐怖に代わって1980年代の後半に登場したのが、サステナビリティの一環として取り上げられる環境問題、具体的には「地球温暖化問題」という恐怖ビジネスでした。
化石燃料の枯渇はなく問題にならないのであれば、今度はそれを継続的に燃やすことによって出てくるCO2を問題にしよう、という流れだったのです。
『かけがえのない国 誇り高き日本文明』武田邦彦著 MdN出版(R05年)より R080314
