武田邦彦先生の講演会(出典詳細不明)から一部を抜粋し、文字起こしを行いました。全編を視聴できたわけではありませんが、先生の著作シリーズのつなぎとして活用させていただきました。本日より全3回で完結します。
先生の著作物や講演会の内容を転載させていただいている理由は、以下の通りです。
◎ 先生ご自身が著作権を放棄されていると宣言されていること
◎ 先生のお考えが、私にとって正しいものだと信じていること
◎ 先生の著作物に含まれる豊富な知見に触れる機会を広げたいと個人的に考えていること
◎ 本件によって私自身が金銭的利益を得ることを目的としていないこと
以上の理由から、先生のお考えをそのまま積極的に転載させていただいております。
なお、私の妻は作曲家でもあり、著作権問題については日頃から関心を持っています。近年、量子コンピューターやブロックチェーンなどの技術を活用することで、著作権者の権利や経済的利益を侵害することなく、優れた知見を誰もが自由に広め、その恩恵を受け、生活の質の向上に役立てられる仕組みが生まれつつあると考え、日々勉強しております。

1. 生物の宿命:DNAと脳が求める「改善」の連鎖(武田邦彦先生の講演会より)
ここで論じる「幸福の3」は、男女の「性(せい)」ではなく、人間の本来的な「性(さが)」と幸福についてであります。 人間の質、あるいは本質的な性質との関係を整理いたしました。男女の性と幸福については、別の機会に改めて深く踏み込んでみたいと思います。それよりも根源的なものが、人間としての「性(さが)」と幸福の関係です。
第一に、生物というのは非常に不思議なもので、DNAという仕組みが誕生したことが決定的でした。初期の緑藻類やストロマトライトなどは原始的なDNAを持っていましたが、それでは他の生物との生存競争に勝てない。そこで、少しずつDNAに改良を加え、約5億5000万年前に多細胞生物が誕生しました。その後、大きな気候変動で三葉虫などが絶滅した後、中生代の恐竜の時代を経て、約6500万年前に恐竜が絶滅してから哺乳類が登場しました。
現在の人間もその延長線上にいますが、DNAの最大の特徴は「改善に改善を重ね、より強い生物を作ること」にあります。組み換えや増減が自由に行える性質を持ち、自然淘汰の中でより強い種を選別し続けた結果、人間が誕生したのです。 人間が今後も「より強いもの」を求め続けるのは、DNAの性質上、止めることのできない宿命といえます。
したがって、人間の後には人間よりも優れた生物が登場するのは間違いありません。動物の「性(さが)」とは、絶え間ない改善の連続なのです。改善を止められないことこそが、DNAの本質です。
また「脳」については、魚類、両生類を経て、爬虫類の段階でDNAの情報量と脳の情報量がほぼ同等になったと言われています。その後、哺乳類はDNAの情報量に対して約10倍の脳情報量を持つようになり、脳が優勢となりました。身体的な特徴(DNA)と知的な特徴(脳)の両面で優れているからこそ、哺乳類が現在の地球の支配者となっているわけです。 その中で人間は、脳が極めて発達した特殊な動物です。遺伝情報に対して約100倍から1000倍もの情報量を持っていると言われています。
この脳がまた厄介なことに、日々「改善」を求め続けます。 かつては洞窟に住んでいた人類が、家を建て、高速道路や高層ビルを築き、スマートフォンまで作り上げました。とにかく改善の意欲が凄まじく、私たちは「改善すること」を善と見なします。 我々の脳は改善を尊敬するようにできています。その頂点がノーベル賞であり、私たちは理由を深く考えずとも、偉大な発見をした学者を自然と尊敬してしまいます。
(武田邦彦先生の講演会より)R080305