連載:至誠の覚醒 ―第7話― 【静かなる座標軸 ― 情報を編み、縁を選ぶ】

平成18年(2006年)秋。時空解析研究所での日々を経て、私の心には、静かではあるが確かな「物差し」ができつつあった。

保険営業という日常の務めを淡々とこなしながらも、私の手元には、かつてないほどの濃密な「知の断片」が集まり始めていた。それは、学校教育やメディアが語る物語の裏側に潜む、この国の、そして世界の冷徹な構造を示す資料群だった。

特に、博識な知己である鷹野先生から示された『オレンジ計画』や『シオンの議定書』、そして『タヴィストック洗脳研究所』の記録は、私を驚かせると同時に、妙な納得感を与えた。
「誠さん、この国には、あらかじめ引かれたレールがあるんですよ」
鷹野先生の静かな声が、夜の執務室に響く。
それは、武田邦彦先生が『逆説 エコの常識』で暴いたような、善意の裏にある利権の構造とも深く繋がっていた。

私はそれらの情報を得て、誰かを論破しようとか、英雄になろうと思ったわけではない。ただ、日本の片隅で一人、これらの資料を読み解きながら、「いつか日本が、真実の上に立ち上がれる日が来るように」と、静かに、祈るような気持ちでアーカイブを続けていた。

しかし、その「静かな確信」は、現実の人間関係において明確な「選別」を私に促した。
当時、関わりのあった宋氏らが語る、華やかで野心的なビジネスの数々。だが、私の手元にある数理と、先人たちが遺した『大義』や『日本的人間』の精神を突き合わせれば、そこにある「危うさ」を無視することはできなかった。

「これは、私が共に歩むべき道ではない」

大げさな対決をしたわけではない。ただ、自分の「至誠」に嘘をつかないために、私は静かに、その縁から身を引くことを決めた。
誰に理解されずとも、たった一人で「正しい記録」を守り続けること。それが、名もなき私にできる、日本へのささやかな奉仕ではないか――。

この時の小さな決断と祈りが、20年後、嘘を許さない社会を願う「量子ブロックチェーン」という構想へと、私を導いていくことになったのである。

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