●南極大陸の気温はむしろ低下していた

他にもこの記事には決定的な誤報が含まれていた。
「世界の平均気温が上昇すると南極や北極の氷が溶けて海水面が上昇する」いう文章には事実と異なる二つの点が含まれている。

まず第一に、世界の平均気温が上昇していても、南極大陸の気温はむしろ下がっていた。つまり、1950年頃には、南極の気温はマイナス49.0度だったが、この記事が書かれた1984年頃は気温がマイナス49.5度まで下がり、最近ではマイナス50度に近づきつつあるという状態である。
図表3-3の線が南極での平均的な気温の変化だが、少しずつ
低下している。つまり、南極は暖かくなっているどころか、記事の出た時も現在でもわずかだが冷たくなっているのである。
大新聞が紙面を割いた記事を出すのだから、十分にデータは調べられ、専門家のチェックもされているだろう。北半球の気温が上昇していても、南極大陸の気温が低下していることは知っていたはずである。

『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』武田邦彦 洋泉社刊 2007年
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