すすのいたずら
近ごろ氷河を後退・縮小させる原因としては、小氷期からの回復(昇温モード)のほか、大気中のススも大きいだろうといわれます。
東西冷戦が終わった一九九○年ごろ以降、中国や旧東欧諸国が急ピッチで工業化を進めました。発電や産業、暖房に大量の石炭を燃やす結果、黒いススが大気へ出て気流に乗り、広い範囲に拡散します。ススが氷河の表面に沈着すれば、太陽熱を吸収して氷の融解を促す。それを指摘する研究論文が、二一世紀に入ってからいくつか発表されました。
「氷河 スス 画像」をキーワードにネット検索すれば、表面が薄黒く汚れた氷河の写真に次々と出合えます。さしあたり、ススが(二〇世紀の末期から)氷河の後退をどれほど速めてきたのか、きちんとつかんだ人はいないようです。とはいえ、それがわかったとしても、ススの完全除去などできない以上、打つ手があるとは思えません。
気候変動・脱炭素」14のウソ』渡辺正著(丸善出版株式会社)
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