ウソ3 近頃台風が狂暴化し、水害も増えてきた
【事実】台風は八〇~六〇年前の方が強かった。乱開発やインフラの老朽化が主因と思える水害が多い
赤穂浪士の吉良邸討ち入りと同じ元禄一五年(一七〇二年)生まれの横井也有(やゆう)が、自分の俳文集を『鶉衣(うずらごろも)』と名づけました。それを彼の死後ほどなく大田南畝(蜀山人)が世に出して、いまに伝わります。同書の中にあるのがこの一旬―――
化け物の正体見たり枯(かれ)をばな
現在では、いつか誰かが手を入れたあとの「幽霊の正体見たり枯れ尾花」がよく知られます。
尾花とは、ススキの穂のこと。何かをしじゅう恐れている人は、なにげないものにもビクついてしまうとか、怖そうに見えたものも、正体がわかってしまえば「なぁんだ」ですむというような意味合いの川柳でしょう。
化け物ないし幽霊を、ダイオキシンや環境ホルモン、気候変動(温暖化)などに置き換えれば、この句こそ、二〇世紀の末に突発した「環境問題」の本質(ウソ8)を表す―――と私はみています。どれも明確な実体はなく、宗教の教義に近かったので。メディアが大騒ぎし、おびただしい本が出ながらも、忘れられて当然の話でした。ダイオキシン・環境ホルモン・BSEの三つは事実そうなり、いま大学生の大半は「それって何?」感覚です。
けれど気候変動だけは、いわば賢い教祖(国連)と使徒(研究者、産業人)が世界レベルの動きをつくり、巨費が飛び交って利権も生まれたため、すぐには止まれない状況ができてしまいました(後編のウソ8~11)。ウクライナ危機の渦中でもアメリカのバイデン大統領が、「気候変動対策も着実に進める」などと空疎な発言をしています。
まずいことに、中立なはずのメディアも時流に乗って、「温暖化教」布教の片棒をかついできました。怖そうで「絵になる」話を取り上げたいメディアの心情は、わからないでもありません。けれど、前章に書いたとおり過去三〇年の気温上昇は、体感すれすれの〇・二~〇・三℃にすぎません。絶対温度で考えると自然界の騒がしさが、三〇年前の一からせいぜい一・〇〇一(小さければ一・〇〇〇七)になっただけ。それが地球の気候を大きく変えたというのは、もともと無理な発想でした。
幸い、気象や気候にからむ統計データはネット検索などでたちまち見つかります。統計データを当たってみれば、「温暖化教」信者の発言やメディア報道が正しいのかどうかは、文字どおり一目瞭然です。
本章から四つの章で、おもにスペシャル「気候大異変1・2」が取り上げた話の一部について、真偽のほどを検証します。まずは日本の台風を調べましょう。
「気候変動・脱炭素」14のウソ』渡辺正著(丸善出版株式会社)