紀元前30~40年ごろまで、ピュタゴラス派の数秘学は「創世記」に書かれた数の謎解きに用いられており、そういった数による聖書釈義の伝統は、聖アウグスティヌスに受け継がれます。そして、ルネッサンス(14世紀から17世紀に全ヨーロッパに広がった文芸運動)の時代に、ギリシャ・ローマの古典復興がとなえられたことから、ピュタゴラス派の数理とカバラの統合、さらには、それらのキリスト教との融合が起こっていくのです。
この時代は、オカルト学の全盛期でもあったようで、ピュタゴラスの創案とされる様々な占いの中でも有名な「ピュタゴラスの車輪」(タロット・カードの10番〈運命の輪〉のもとになったものと言われる)や、後に紅茶占いなどという形で伝わる土占い(ジオマンシー:石ころを投げてその形状で占う)などが、流行したようです。それらにも数の意味が含まれているのはもちろんのことですが、その単純な占い方法を見るにつけ、真理とはかくも単純明快なものだということを思い起こさずにはいられません。
『100年数秘の本』DASO著 (ヴオーグ社刊)より