「第二十議定」の「国家財政の破綻」「国債という吸血鬼のごときもの」の項
『議定書』の「国家税制の破綻」の項では「……こうしてゴイムの政府の無頓着な方法から国庫はついに空になる。ここにおいて国債時代が来て、国庫に鉤をかけることが始まり、ゴイムの国家全部を破産の淵に陥れることになった」と鳴き、次の「国債という吸血鬼のごときもの」の項で、「国債は政府が弱体であり、その機能を理解することも出来ない無能を現わすのである。……実際において国債とは何であるか。吸血動物以外の何ものでもないではないか」と述べているが、われわれは「ゴイムの国家全部を破産の淵に陥れることになった」という彼らの豪語を否定することができない。およそ国家と名の付くところで国債を発行していない国家は今やほとんどないからである。
だが、ギリシャ国債の下落に端を発してイタリアやスペインまでも巻きこんだ欧州連合(EU)加盟各国の「経済危機」においては、『議定書』の豪語が空しく聞こえてしまうような醜態劇を暴露してしまった。実は、国債の起債から販売までギリシャの台所(経済)を一手に預かって切り盛りしていたのは、先のリーマンショックで一人勝ちしたと言われるゴールドマン・サックス(以下、GS)であったのだが、そのGSが保険会社AIGの発行したギリシャ債務返済のCDS(Credit default swap:クレジット・デフォルト・スワップ)を購入した。つまり、ギリシャ経済が破綻しないとCDSを買ったGSは丸損をすることになる。そこで、GSは自ら切り盛りしていたギリシャ国債に対して空売りを浴びせかけた。その結果がギリシャ国債の暴落と国債金利上昇の果てのギリシャ経済破綻であったのだ。ギリシャ国債の発行引受会社のGSが自ら猛烈な空売りを仕掛けたのだ。これはもうインサイダー取引などと言うも愚かな背信行為であり、二重のペテンである。
ところで、リーマンショックの際にAIGは破綻して公的資金を投入され、現在は米国政府の管理下にある。AIGがGSに支払をするということは米国民の税金が使われるということになる。これはすんなりとはいかないだろう。結局、マスコミはあまり報道しないが、『議定書』で「我々」と呼んでいる寡頭金融勢力が一枚岩ではなく、その内部で熾烈な共食いを始めていることがバレバレになってしまったのである。
[定本]『シオンの議定書』四王天延孝原訳 天童竺丸補訳・解説 成甲書房
昭和十六年(一九四一年)刊「猶太思想及運動」附録第三「シオンの議定書」を底本とした。
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