〇内国債と新税の導人
前回の講話に引き続き、内国債について新たに細かい要諦を付け加える。ゴイム国家の金をもって我々ユダヤ金庫を埋めた外債のことについてはもはや説かない。我々の政府のなかには外国人はなくなり、何人も我々の律法のほかには立てない。我々は役人の腐敗と国家首脳者の怠慢を利用して、実はゴイム国家に何の必要もない金を貸して、債務の二倍三倍もしくはそれ以上の金を我々の金庫に納めた。一体誰が我々にそれほどにしてくれたのか? これをまず申しておいて、今から内国債に関して約束した若干の細部を述べる。
彼らが国債募集を広告すると、政府は債券購入の申し込みを受ける。何人にも買えるように小額の公債も造り、百から千まである。最初の申込者には額面よりも割り引いた金額で売る。
翌日には人工的に値が上がり売行きが良くて応じ切れないという口実で値上げするのである。数日後にはもはや予定発行高に達し、超過申し込みに対してはその処置に窮したと発表させる(それならなぜ申し込みを引き受けたのか?)。もちろん申込額は発行額を大きく超過する。かくして、公衆が国家の債券に対して信用を持っていることを示し、目的を達したのである。こんな芝居は済むが、残るのは債務である。利息払いのために新たな公債を発行するが、これは初めの債務を整理し得るのではなく、さらに新たな債務を加えるのである。
しまいに政府の公債発行能力の限度を超過すると、新しい税を取り立てる必要が起こる。それも公債を整理できるのではなくて、ただ利払いのためである。すなわち新税も借金のための借金のようなものである。
〇整理公債
そのうち公債書き替え時期が来るが、書き替えたとしても利率を少なくするだけで、債務がなくなるわけではない。かつこれは債権者の同意を得なければ出来ることではない。書き替えを広告するときには、これに同意しない人には金を返還すると発表する。万一皆が返還を要求したならば、政府は自分の造った陥欠に落ちるわけで、全部の返還は現実にはできないのである。幸いにしてゴイムは財政問題のすべてを知らないから、利率が悪くなっても、別の新事業に投資して危険を冒すよりは安全だと思って書き替えに同意する。
かくて彼らは政府の数百万の歳入不足を埋めさせてやる。だが今日の外債の方式ではゴイムもこのような冗談のようなことには乗らなくなった。それは我々が全額払い戻しを請求し得ることがわかったからである。
かくて明らかな財政破綻が生じてきて、人民と政府の間には何ら共通の利益が存立しないと言うことが明らかになってきた。
今申したこと、さらに今から申し述べることには特に注意を払われたい。現在では内国債はすべて臨時公債と称するものに整理され、すなわち返債がやや長期に渡るのである。この金は貯蓄銀行に預け入れる。
これは政府が使えるのであるから、外債の利払いで四散してしまう。そして、そのあとには同額の政府の公債をもって補填しておける。これらの債券がゴイムの公共金庫のすべての不足を埋めているのである。
〇取引所の廃止
我々が天下を獲ったときには、財政上のこのような窮策は我々の利益に反するからなくしてしまう。我々はまた債券の取引所を廃止する。それは我々官憲の権威が担保物の価格の上下によって動揺させられるようなことは断じて許せないからである。我々は債券の価格が乱高下しないようにこれを固定してしまう。
すべて跳ね上がるものはまた落ちる。このようにして我々の闘争の初期にはゴイムの債券を弄んだのである。
我々は取引所に代わって公的な大金融組織を設け、その任務は政府の指示に従って商業上の有価証券に課税するのである。この組織は日々市場に五億の商業債券を出してやり、またはそれだけのものを買い取り得る。かくてすべての工業的企業が我々に従属するのであるから、これがいかなる勢力を我々に与えるかは、容易に諒解せられることと思う。
[定本]『シオンの議定書』四王天延孝原訳 天童竺丸補訳・解説 成甲書房