〇ユダヤの専制政府
今の社会は至るところに腐敗が広がっている。富は巧妙な誤魔化しや多分に詐欺に類する方法で獲得され、賄賂は饒舌に物を言う。
徳義は厳罰主義によって保たれるのであって、心から道徳の原則を守るためではなく、国際主義への過度な信奉が国家観念と宗教とを破壊してしまった。こういう社会にはいかなる政治形態を与えるべきであろうか。
これから述べようとする専制政治以外にいかなる政治形式が与えられようか。
我々は極めて集権的な政府を打ち立てて社会の権力を我々の手に収めよう。我々は新しい法律をもって人民の政治生活の動きを律していく。
その新法律はゴイムが許してきた寛大なことや自由なことの一切合切を奪ってしまう。我々の政治は尊厳な専制で押さえていくので、いかなる時にもいかなる場所でも我々に不平や敵意を持つものを破壊するのである。
この専制は近代の進歩と相容れないと非難されるかも知れないが、私はそれが全く正反対であることを証明しよう。
〇多民族の利己主義
人民がその首領を神意の顕現だと思っていた時代には何ら不平なく君主の独裁に服していた。しかし我々が人民に個人の権利思想を教え込んでから、彼らは君主を普通の人間と見なすようになった。
即位のときに注いだ神聖な脂は君主の額から消え失せた。我々が神の信仰を人民から取り去ってからというもの、支配者の権威は溝の中に投げ込まれて公共の場所へ移っていき、そこで我々がこれを手に収めたのである。
群集や個人を弁舌や詭弁により、社会生活の指導者により、またはゴイムにわからない他の方法を用いて支配していく技術は他の能力と相並んで我々ユダヤ人の天才的政治力に属するのである。
この天才政治というのは物を解剖し批判することで成立し、また比類のない巧妙な議論に基づくものである。それはあたかも我々が国家間の同盟関係を組み立てたり、政治的活動をするのに我々に肩を並べる者が無いのと同じことだ。しかしジェジュィット教徒〔訳註:イエズス会士〕だけはこの点で我々と肩を並べられるが、我々は無智な下層民の間にその信用を失墜させることが出来た。というのは、我々は秘密組織をもって蔭の中に隠れているのに、ジェジュイット派はその組織が外部から見えるようになっているからである。結局世間がカトリック教の首領に支配されようと、シオニストの血を受けた我々の独裁者に支配されようと同じことではないか。
しかし、神の選民たる我々はどちらでもよいとは言ってはいけない。
ゴイムが世界的に同盟すれば、一時は我々の構想を失敗させることが出来るかも知れない。だが彼らの間には古くからの軋礫が深く根を張っていて、到底これを除き得ないようになっているから、我々はそれによって保障されるのである。我々はゴイムの国民的利益も対立するようにしておいた。我々は二千年も前から宗教的、人種的反目を彼らの間に拵え、これをなくならないようにしてきた。それだからいかなる国も、どこからも助けを受けることは出来ない。
なぜならばユダヤに反対する同盟を造ることは、自国の損になると各国が考えるからである。我々はあまりにも強力である。
我々は自己の力を信頼しなければならない。いかなる国も、我々が切に協力を与えなければ、たとえ軽微なことでも特別な協定などを結ぶことはできない。
「王は我に依って支配する。」我々の預言者のいわく、「我々は世界に君臨するために、神自身から選ばれたのである」と、神はこの問題を解決することが出来るように我々に天才を賦与してくださった。我々に反対する陣営に天才が現われたとしても、駆け出しの新参者は古くから職業的にやってきた者にかなうわけがない。我々の闘争は未だかつてなかったほどの残酷なものであろうから、先方の天才先生も登場が遅かったことになろう。政府の諸機関は我々だけが持っているエンジンで回転する。そのエンジンとは金のことである。
我々ユダヤの賢者が発明した経済学が、久しい以前から金の権威を君主の威光以上に賑わしている。
資本が思うように振舞うには商業と工業とを独占しなければならぬ。そのことは既に世界の至るところで、ある見えない手で行なわれている。この目的が達せられると政権は商人の手に移って人民はこれに屈従することになる。今日では各国民の武装解除をする方がこれを戦争に駆り立てるよりも必要である。
さらに必要なことは我々の考えを実行しようとする人民どもの熱情を利用することであって、これを冷ましてはならぬ。なおまた他人の考えを我々の方へ取り入れて我々の方針に従って解釈することは、より必要であって、他人の意見を知らずにいるのは愚かである。
我々の政治の最も重要な問題は論評によって一般の民心を弱め、物を熟考する習慣を失わせるのである。なぜかというと、考えると反対が起こってくるから、考える精神力を無益な雄弁の方へ振り向けてしまうのだ。
〇世論は腐敗させて意のままに
いつの時代でも民衆というものは、個人も同様だが、言論と事実とを混同し、直に自己の感覚に現われてくるもので満足し、社会生活の中 で約束されたことが実現したかどうかを検討する者は稀である。
ゆえに我々は人の目に立つ制度を設け、それが進歩に向かってよく活躍していることをはっきり知らしめるであろう。
我々はすべての政党の自由主義的な綱領や主張を取り入れて、これを我々陣営の弁士に教え込む。すると弁士らは民衆が聞き飽きて逃げ出すようになるほど喋り立てるのである。世論を支配するには、相反する幾つもの説を並べ立てて判断を当惑させ、あたかも迷宮に入り込んで困ったようにし、ついに結局、政治問題には何の意見を持たない方がよいと考えさせるようにしなければならぬ。
政治問題などは指導者だけが理解すべきもので民衆には理解させない。これが第一の秘密である。
政治に成功する第二の秘密は、人々の欠点や欲情を倍加させ、これに対する法律規則を頻発して、その混乱の中で誰もがわけがわからなくなり、人民相互の間にも理解が出来ないようにする。そうなると人心の中に軋礫の種子が蒔かれ、我々に従順でない共同体を攪乱するのに都合がよくなるし、また個人的な企てで我々の仕事を妨害する者の気勢を殺ぐようになる。個人的発意ほど危険なものはない。もしそれが天才を発揮すると、我々が紛争の種子を蒔いた民衆の百万よりも実力がある。
〇国際的支配力
我々がゴイム社会の教育を指導するには、ゴイムが何か個人的発意で努力をしようとするたびごとに、失望してしまうようにするのである。個人の自由を極端に発揮してやる企ては、他人の自由な企てと衝突するとき無力になる。そこで精神的に大打撃を蒙り、失望、意気消沈となる。我々はかくのごとく自由で疲労困懲させ、ついに彼らが国際的支配力を我々に提供するようにさせる。
その国際政府というのはその地位からして、世界の支配力を壊さずにそのまま我々の思うようにさせ、超国家を造らせるのである。現在の支配者の代わりに、超国家管理者と称する怪物を置き、その手が八方に伸びて、いかなる国民もその言うことを聞かなければならぬようにする。
[定本]『シオンの議定書』四王天延孝原訳 天童竺丸補訳・解説 成甲書房