〇フリーメーソン組織の働き
共和国が出来上がるまでにはいずれも二つの過程を経ている。第一に盲人の動きだした始めの馬鹿げた有り様で、右や左の壁に行き当たる。第二は民衆煽動の時代で、これは無政府状態を造り出し、国家は必然的に独裁になってくる。
その独裁は合法的に公明な統治者のあるものではなくて、あくまで幽玄な、隠れたものであるが、それだからと言って弱体というわけではない。
それは種々の手先の庇護の下に楽屋で地味に働く秘密組織が活躍するからである。その手先はたびたび取り替えるのでかえって秘密組織には都合がよろしい。そうでないと永い間の精勤への報酬がいろいろ面倒になる。
それでは誰が、何者が、そんな「見えない政権」を樹立できるのか。これが我々の政権の特色である。
外部のフリーメーソンすなわちゴイムを要員として入れてあるフリーメーソンは、本当の秘密政権を隠匿する屏風であり、目的をわからなくする仮面である。秘密政権の計画やその本当の所在は常に、人民にはわからないようにしてある。

〇宗教に対する闘争
自由は、それが神の信仰と人類愛の信念を説くだけに止まるならば、人民の安寧幸福に何の害も与えないから、国家の政権綱領に入れておいても差し支えない。だが、平等論は服従を要求する自然法則に反するから、これより切り離されなければならぬ。
信仰があれば人民は宗教管轄の幹部に率いられた精神的指導者の下に、神の地上に打ち建てた法則に従って安穏に繁栄していけるのである。それであるから、我々はゴイムの精神からあらゆる信仰を破壊し、神の観念をも抜き取ってしまって、これに代えるに数字の計算と物質の欲求をもってしなければならぬ。

〇廃墟の上に金の小牛
ゴイムに物を考えたり観察したりする暇を与えないように、これを商工業の方に引き付けなければならぬ。それで各国民は自分の個人的利益に没頭してしまって、共通の敵に注意を払わなくなる。しかして自由がついにゴイムの社会に仕掛けをしてこれを滅ぼすことが出来るようにするには、投機を工業の基礎にしなければならぬ。そうすると地面から取り出す富が投機によって我々ユダヤの金庫の中へ転がり込んでくるのである。
他人との競争に勝とうという闘争と、事業界における不断の投機とが道徳も人情もない社会を造り、その社会は宗教にも政治にも無関心どころではなく、むしろ厭気も差してきて、ただ金を儲けることが唯一の指針となり、これを殖やすためにあらゆる努力をする。
それだけが物質上の楽しみで拝金宗教となってしまう。そこでゴイムの下層民は我々の競争相手である特権ゴイムに反対して、我々に結びついてくる。
それは別に高尚な目的を主張するためではなく、また金が欲しいからでもない。ただ単に上層階級に対する敵意からである。

[定本]『シオンの議定書』四王天延孝原訳 天童竺丸補訳・解説 成甲書房